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18爽やかな風が吹く


霞む視界に映ったのは青い空だった。ぼんやりする頭に、ああ私は寝てたんだと理解する。んーっと伸びをすると太もも辺りに重みを感じた。はっと視線を下にさげるとこちらもうっすら目を開けぼーっとしている景吾がいた。まったりとした空気の中何と無く携帯を開けば宍戸からの着信とメール、合わせて10件は超えていた。目に入った時間も完全部活サボりな時間だった。


「けっけけけいごー!」

「……はよ…」

「おはようじゃない!部活!部活始まってるよもう!」

「…アーン…?」

「起きろー!」


寝ぼけてる景吾もなかなか珍しいと思ったけど今はそれどころじゃあない。ぺちんと額を叩き立ち上がると景吾もめんどくさそうに起き上がった。とりあえず宍戸にごめんとメールを入れてフェンス越しにテニスコートを見てみれば元気よくテニス部は活動していた。宍戸と長太郎がランニングしてる姿が目に入る。


「あーどうしよう…まずドリンク作ってそれから、って景吾!」

「もたもたすんじゃねえ。さっさと行くぞ」

「景吾のせいだからね!」


小走りに景吾の後ろをくっついてテニスコートへ向かった。途中何度も階段から落ちそうになったり何もない廊下で転びそうになったけど景吾に間一髪で救われた。景吾以外の誰かだったら多分何度死にそうになっていただろう。

無事部室にたどり着くと侑士がビックリしたような顔して私たちを見ていた。休みかと思ったわーなんてすぐにへらへらとした顔に変わってすぐ側のベンチに腰を下ろす。


「跡部と唯子!」

「ホントだC!」

「大遅刻ですよ先輩たち」

「あ、こんにちは」

「サボってんじゃねえよ」

「悪かったな、すぐ準備する」


ふっと景吾は笑うとそのまま部室へ入って行った。景吾が終わったら着替えようと待つために侑士の隣に腰を下ろした。岳人とジロちゃんは走ってどこかにいなくなった。若と長太郎も練習に戻ります、と一礼。宍戸は静かに私の隣に座った。


「上手くいってるな」

「頑張っとるやん」

「へへ、まあねー」

「笑っとる顔のが可愛いで」

「侑士に言われても照れない」

「なんやねん、それ」


あはは、と三人の笑い声が響くのと同時にがちゃりと景吾が現れた。ほな俺たちも戻るわ、そう言って二人も景吾に続いてコートに戻って行く。行き際に頑張れよってちょっと照れ気味に言う宍戸に思わず吹き出したら睨まれる。ちらりと景吾を見れば何と無く、目が合ったような気もした。

私、テニス部のマネージャーやってよかった。改めて思った日かもしれない。



(爽やかな風に心も快晴)
(みんなみんなありがとう!)






あきゅろす。
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