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14時間は関係ない



息も絶え絶えにテニスコートまでたどり着くとすでにネットを張る一年生の姿があった。私を見付けるときらきらした笑顔を私に向けて「おはようございます」と挨拶。まったく可愛い後輩たちなんだから、思わず頬が綻んでへらりと笑ったままおはようと返した。気持ち悪ぃよお前と宍戸に後頭部をはたかれた。


「だってみんな、可愛いんだもん」

「バカ言ってねえでさっさとマネージャー業してこいっつの」

「全くもう、宍戸はマネージャーをこき使いすぎだよ」


と言いつつも宍戸にカバンを預けてドリンクを作るために粉とボトルを持って水道に走る。なんでだろうか、今日はとても気分が清々しい。今まで憂鬱でしかなかった部活が楽しみなものに変わったからかな?ふんふんと鼻歌混じりにどんどんドリンクを作りあげていく。それでも水分量や粉の量を間違わないように注意しながら気をつけた。
最後に跡部のを作っておしまいというところで後ろからふわりと髪を撫でられた。いきなりのことでビックリしてふいっと振り向けばそこには丸眼鏡がにこりと笑いながら立っていた。


「元気そうでよかったわ」

「へへ、おかげさまでね」

「ま、そうでなきゃ唯子やないわな」

「ほな今日、ちょお一年生の教室一緒に行かへん?」

「一年生の?」

「噂の可愛こちゃんがね…」


にやにやと笑いながらこそりと言う。もちろん行くでしょと言おうとしたらいきなり響く景吾ボイス。びくりと心臓が跳ねた。


「俺様のドリンクは出来たのか?」

「え?あ、これから…」

「忍足、邪魔してんじゃねえよ」


侑士はふっと笑うと景吾に気付かれない角度でぱちりとウインクしてほな練習戻るかあ、なんてわざとらしく言いながらゆっくりコートに戻って行った。この空間に残されたのは私と景吾のふたりだけ。前は苦痛でしかなかったこの雰囲気だったけどなぜか今はふわふわしてとても気持ちが良いんだ。


「はい、出来たよドリンク」

「ああ」


じゃあみんなに配ってくるねとドリンクバッグを抱えて走り出そうとしたらちょっと待てと景吾に止められる。慌てて止まりすぎて思わずドリンクバッグを落としそうになった。


「もうちょっとお前と話したい」


景吾はさりげなく私の抱えていたドリンクバッグを持つと照れ臭そうに笑った。…やばい、こんな景吾の顔初めて見たかもしれない。いつも余裕そうで私たちよりもどこか大人びて見えて。でも、今は違う。


「…しょうがないなあ!」

「光栄に思えバーカ」


私も照れ隠しするように笑った。あ、でも耳真っ赤かも。でもいっか、景吾もほんのり紅色の頬をしてるもん。




(今までの空白埋めんのに、時間は関係ねえんだよ)



next.

***


なかなか終わらせられない 笑

跡部連載というよりむしろ氷帝ですよねこの流れ。






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