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もう少し(一緒に居たい)





1週間が短いって初めて思った。






08.もう少し
(もっともっと時間が欲しい)









今まで夢見てたことが叶い続けた週だったなって思った。雅治って呼ぶのにもすっかり慣れちゃったし私がして欲しいなってことを雅治にお願いすることも出来るようになったし。周りの皆にも私と雅治が一緒にいることが普通になってきたよって言われた。ちょっと嬉しく感じたのも事実である。


「一週間ってけっこう早いね」

「じゃな、もう明日で終わりじゃな」

「何かちょっと変な感じ」


暗い帰り道、私の家の近くの公園で二人でブランコに腰掛け一時間くらいの談話の時間。微妙に肌寒いと感じた瞬間にさりげなくブレザーを掛けてくれた雅治にどきりとする。友達が言うにはこの一週間ですっかり恋人らしくなったね、ということらしい。クラスの男の子にも「ちょっと女らしくなったよな」って言われた。今までの私は何だったんだと思ったけど言われて嬉しくないわけではない。やっぱり恋するって人を変えるのだろうか。

(…え?)

じゃあ私が変わったってことは、やっぱり私は雅治に恋をしているのかな?隣でぼけっとしている雅治の横顔を見て静かに考える。雅治に対しての想いが変わったか、自分ではよくわからないけどやっぱり好きなのかって聞かれたら好きなんだ。一緒にいると楽しいしいっぱいお話したいって思う。

(これが恋する女の子の気持ち?)

多分そうなんだろうけど何だろう、認めるのが怖い。雅治を見てたらその銀髪に全てを支配されそうで思わず目を反らしてしまった。私の不審な行動に気付いたのかどこか遠くを見ていた視線を私へと向けた。


「どうかしたんか?」

「…ううん、何でもない」


雅治の視線が痛い。見られてるなって思ったら身体が熱くなってきた。


「もう暗いし、そろそろ帰るか?」


離れたくないよ、その文字が頭に浮かんでしまうんだ。立ち上がり重そうなテニスバックを背負うと優しく微笑みながら私に手を差し出している。この変な葛藤がばれないようににこりと笑い返してからちょっと冷たい雅治の手を握った。



(願いがひとつ叶うならば、時間よ止まれなんて、)







あきゅろす。
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