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ある朝の(一日のはじまり)



「やっぱ好きかも」


なんて思った朝だった。






07.ある朝の
(今までで1番楽しかった朝)







あのあと初めて雅治とふたりきりで帰ってなんだか気分がふわふわしていた。気まずくなったりするのかなあ?と心配してたけどそんな心配はいずこ、いつも通りバカみたいな話でバカみたいに盛り上がった。普通でよかった、なんて安心したのを覚えている。



「…はよ、」

朝練に遅れさせるのは申し訳ないからもっと早く行こうよと私が提案したから昨日より30分くらい早く家を出るとすでに眠そうな雅治が欠伸をしながら手を振っていた。「お前さんを理由に寝れると思ったのに…」とまたひとつ欠伸を落とした。全く雅治は真田くんという人が怖くないのだろうか。よく平気で朝練をサボれるなあとちょっと感心してしまう。


「ほら、朝練頑張って!」

「まーしゃあないからのー。テキトーに頑張るぜよ」

「一生懸命やりなよ」


ふらふらしながら雅治は部室に入ると同時に入れ違いで出て来たのは丸井くんと切原くん?だっけ。ぎゃあぎゃあと何か言い争いながら出て来たと思ったら私を見つけると二人してにやりと笑みを浮かべて走り寄って来た。丸井くんとは同じクラスだけどあまり話す機会もなかったし、丸井くんから寄って来るのは何か新鮮だった。まあ多分言われる内容はだいたい想像はつくけどね。


「なあなあお前さ、仁王と付き合ってるってマジ?」

「んー…まあね」

「マジだったんだ。まあ昔っから仲良かったもんな、お前ら」

「え?」

「とにかく!仁王先輩ああ見えても彼女には優しい人っスからいいカップルになると思いますよ」

「え、あ、ありがとう…」


そろじゃあな、と丸井くんは手を振り切原くんはぺこりと軽く会釈をしてからコートに走り出した。なんか意味深なことを言われたような気もしたけどよくわからなかったし深く考えないことにする。足跡が聞こえてふと振り向くと少し難しい顔をした雅治がこっちに近付いて来ていた。私と目が合うと雅治は一変にこりと笑い丸井と赤也は気にしちゃいかんぜよ、と言ってからまたふらふらとテニスコートに向かって歩いて行った。

「頑張ってね!」

そう声を張り上げて言えば雅治はにこりと笑って当たり前、と返してくる。雅治の姿が見えなくなるまで見守ってから教室に向かう。実は早起きって苦手なはずなのに雅治のために起きれてる私、なんでだろう?お弁当だって張り切って作っちゃうしなんだか自分が自分じゃないみたいで可笑しくなってくる。女の子ってこんな楽しかったんだなって改めて思った。



(女の子に生まれるって、こういうことなのかも)







何ヶ月ぶりかの仁王くん更新です。遅くてすいません…





あきゅろす。
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