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スタート(まずは一週間)




「試しに付き合ってみるか?俺と」


そう言った仁王の言葉が妙に頭の中をこだました。




02.スタート
(初心者同士の擬似恋愛の、)








何をいきなり言ったのだ、仁王が。私の夢を叶える?仁王と付き合ってみる?急展開すぎる展開にわたわたと頭がついていかない。
いたって仁王は真剣な顔、ただ私に恋愛というものをレクチャーしようとしてくれてるだけなのか。これもまた仁王の優しさなんだろう。



「ありがと、仁王。じゃあ経験豊富な仁王くんに色々と…」

「お前勘違いしとらんか?」



ぽかんとした顔で私を見る仁王はそれなりに年相応に見える。
勘違い、とは一体どういうことだろうか。仁王は同学年からも年上のオネーサン達からも年下のガールたちにもモッテモテ。一日に何人にも告られているらしいし彼女のひとりやふたりはいるだろうと考えている。まさかその考え自体が私の勘違い?



「俺は今まで誰とも付き合ったことはなか」



その言葉を聞いて私の中の何かが弾けた。噂って怖い。私、仁王はきっと何人もの可愛い彼女やキレイな彼女がいるんだろうって勝手に思ってた。仁王にとればまったく迷惑な話であろう。あることないことテキトーに話作られて広まって。まあ元は何となく想像がつく気がする。同じクラスで赤い髪した小ブタ…ではなく自称天才的野郎。脚色されたのは広まる間であろう。




「いくら告白されても好きでもないヤツとは付き合えんしな」

「うん…そりゃそうだね」

「でもお前さんの話聞いてると恋愛ってどんなもんか、気になって」

「だからって私じゃなくても…」

「二言三言くらいしか話したことないヤツより仲良いヤツのがいいじゃろ」



仁王はそう言ってな、とキレイに口角をあげ目を細めた。こんなにも余裕があるように見えるのに付き合ったことがないなんて本当に意外だった。それと同時に噂を信じてしまっていたことに対する申し訳ない感情が溢れる。
だって仁王だし、ありえない話じゃなかったからつい。今更何言っても言い訳にしかならないけれど。



「とりあえず一週間。…どうじゃ?」

「う、ん…」

「うし、決まりな。よろしく」

「何か変な感じ!」

「だな」




私と仁王の恋愛擬似体験、いわゆるお試し期間はほんわかとした雰囲気の中なんとも普通にスタートした。まだドキドキもないしすごく変な気分。
でもせっかくのお試し期間、楽しませてもらおう。仁王と手つないだりするのかと思うと少し笑っちゃうけどね。




恋愛初心者二人組、今日から恋愛シミュレーション開始します。




(ドキドキしてる?)
(んーん、まだやの)




NEXT.





第二話でした。
擬似体験スタートでっす!
さて、どうなることやら…。

管理人:あいの






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