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あなたの傍に
No.3


屋上へと続いていると思われる階段を登っていると、屋上に向かっていくライガが見えた。


「居たぞ!」
「ルーク様!追っ掛けましょう!」
「ミュウも行くですの!」
「あ、待って下さい!アリエッタに乱暴なことはしないで下さい!」


ルーク、アニス、ミュウ、イオン様がライガを追って屋上に走って行ってしまった。


「待って!罠かもしれない……!」
「おやおや、行ってしまいましたね。気が早い」
「……アホだなー、あいつらっ!」
「ボヤいてる場合じゃないわ、あたし達も行くわよ!」


急いで屋上に出ると、ルークが鳥型の魔物に捕まえられて飛んでいるのが目に入った。


「ルーク!」
「もう……ドジね……!」
「ディスト!?」


突然現れたディストは魔物からルークを受け取ってどこかに飛んで行き、アリエッタも逃げ去っていた。


「ディストまで絡んでいましたか。やれやれですねぇ」
「大丈夫かなぁ……もう……」
「……ん?ティア、どうした?何か言ったか?」
「い、いえ、何でもないわ。それより、早くルークと整備隊長を助けましょう」
「私のせいです……ふみゅう。もう、悔しいよぅ!アリエッタのばかぁ!」
「まあまあ、落ち着いて下さい。あの様子なら、命を取るつもりは無さそうです」
「そうみたいね。それに、彼らが1番必要としている筈のイオン様はまだこっちの手にあるもの」
「とにかく、ルークを探そうぜ」


あたし達はルークを探して音機関があった部屋まで戻って来た。
そこでは先に行っていたガイがシンクと対峙していた。


「くそ……他の奴らも追い付いて来たか……!今回の件は正規の任務じゃないんでね。この手でお前らを殺せないのは残念だけど、アリエッタに任せるよ。奴は人質と一緒に屋上に居る。振り回されてゴクロウサマ」


シンクはそう言い捨てて逃げ去って行った。
その間にジェイドが起動している音機関を操作して、ルークを解放した。


「ふぇ……何がなんだか……」
「大丈夫?ルーク。一体あなたを攫って、何のつもりだったのかしら……」
「知るかよっ!くそっ!何で俺がこんな目に遭うんだ!」
「アリエッタのせいです!あのコただじゃおかないからっ!」
「アリエッタは屋上に居るのよね」
「そのようです。何度も同じ所を行き来するのも面倒ですが、仕方ないですね。行きましょう」


再び屋上にやって来たあたし達。
また、ルークを捕まえていた魔物がルークを捕まえようとしたが、ルークは持っていたミュウに炎を噴かせた。


「へへ、何度も同じ手に引っ掛かると思うなよ」
「ルーク様、すっご〜い💖」
「貴方にしては上出来ですね」
「いちいちうるさいぞ!」
「アリエッタのお友達に……火……噴いた……!もう許さないんだからぁ!!」
「うるせぇ!手間掛けさせやがって、このくそガキ!」
「良いもん!あなた達倒してからイオン様を取り返すもん!ママの仇っ!ここで死んじゃえっ!!」
「みんな!来るわよ!」


アリエッタが戦闘態勢に入り、あたし達もそれぞれ武器を手に取る。


「根暗ッタ!いーかげんにしてよねっ!」
「アニスこそ、私のイオン様を返してよっ!」
「イオン様の邪魔する奴を、イオン様が認める訳ないでしょ!」
「うわーんっ!バカバカバカァ!」
「う、うるせぇなっ!」
「惑わされないで!」
「見た目は子供だけど、魔物を使役する力は本物よ。油断しないで!」


叫ぶアリエッタに耳を塞いだルークにティアとあたしがたしなめる。



「みんな大嫌い!あっちいってよぉっ!」
「うるさーい!引っ込むのはお前だっちゅーの!」
「ち、殺しておくべきでしたか」
「ああっうぜぇっ!」
「もう嫌ぁっ!倒れちゃえーっ!」


アリエッタが合図を出し、魔物達があたし達に襲い掛かって来た。


「歪められし扉よ、開け!ネガティブゲイト!!」
「ぐあっ!」
「ルーク!癒しの力よ……ファーストエイド!!」


アリエッタの譜術を受けたルークにあたしがすかさず治癒術を掛ける。


「孤月閃!!」
「臥龍撃!!」
「ノクターナルライト!!」
「炸裂する力よ!エナジーブラスト!!」
「荒れ狂う流れよ……スプラッシュ!!」


ガイ、アニス、ティア、ジェイド、あたしの順番に次々と技を出し、アリエッタが弱ったところで、あたしはアリエッタに向かって走った。


「……ごめんね」
「うっ……!」


剣の柄でアリエッタのみぞおちを殴り、気絶させた。
するとジェイドが槍を出してこちらに近付いて来た。


「やはり見逃したのが仇になりましたね」
「ジェイド……!」
「待って下さい!」


すかさずイオン様が慌ててジェイドの前に立ち塞がり、あたしはアリエッタを抱き締めた。


「アリエッタを連れ帰り、教団の査問会に掛けます。ですから、ここで命を絶つのは……」
「そうよ、罪は生きて償うべきだわ。だから……」
「それがよろしいでしょう」


すると、ルーク達の後ろからヴァン謡将が姿を現した。


師匠せんせい……」
「カイツールから導師到着の伝令が来ぬから、もしやと思いここへ来てみれば……」
「すみません、ヴァン……」
「過ぎたことを言っても始まりません。アリエッタは私が保護しますが、よろしいですか?」
「お願いします」


ヴァン謡将がイオン様に許可を取り、あたしの傍まで来てアリエッタを抱き上げた。


「待って」
「何か?」
「癒しの光よ……ヒール!!」


アリエッタを抱き上げてあたしに背を向けたヴァン謡将を呼び止め、アリエッタに治癒術を掛けた。


「ありがとうございます、ソフィア」


お礼を言うイオン様にあたしは微笑んだ。


「やれやれ……キムラスカ兵を殺し、船を破壊した罪、陛下や軍部にどう説明するんですか?」
「教団で然るべき手順を踏んだ後、処罰し、報告書を提出します。それが規律というものです」


尋ねるガイに、イオン様ははっきりと仰られた。


「カイツール司令官のアルマンダイン伯爵より、兵と馬車を借りました。整備隊長もこちらで連れ帰ります。イオン様はどうされますか?私としてはご同行願いたいが」
「このコーラル城に興味がある人も居るようですけど……」


今度はヴァン謡将に尋ねられたイオン様は、みんなを見回した。


「俺も馬車が良い」
「……と言う人も居ますから、一緒に帰ります」
「分かりました」


イオン様はルークの意見を尊重し、あたし達は馬車に乗ってカイツールの軍港に戻った。

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あきゅろす。
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