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あなたの傍に
No.3


「ん…………」
「ソフィア!気が付きましたか!」


重い瞼を開けると、心配そうな顔で覗き込んでいるジェイドの顔が目に入ってきた。
視界の端に、ジェイドと同じように心配している様子であたしを見ているのが見えた。
あれから時間がかなり経ったのか、辺りは暗かった。


「良かった……!本当に良かった……!」
「ジェ……っ!」


ジェイドが急にあたしを強く抱き締め、呼吸が苦しくなる。


細いくせにどこにこんな力があるのよ……っ!


「ジェ、ド……苦し……っ!」
「すみません……」


ようやくジェイドの腕から解放され、呼吸を整える。
上半身を起こすと、ジェイドが片腕であたしの背中を支えてくれた。


「ふぅ……ごめんね、ジェイド。心配かけて……」
「いえ。貴女に怪我をさせてしまったのは私のせいですから」
「ふふっ。珍しいわね、ジェイドがしおらしいなんて」
「ソフィア、私は真面目に……」
「分かってるわよ。貴方がどんなにあたしのことを大切に想ってくれてることぐらい」


ジェイドの頬に手を添えて微笑むと、彼も優しく微笑んでくれた。


「みんなも、心配かけてごめんね」
「目が覚めて良かったです」
「ソフィア、その……俺のせいで……」


イオン様がほっとしたように微笑み、ルークは申し訳なさそうに視線を落とした。


「ルークのせいじゃないわ。あたしが勝手にしたことだから」
「でも……」
「軍人が民間人を守るのは当然のことよ?だから、あたしは当然のことをしたまでよ」
「…………」
「皆さん、もう休んで下さい。見張りは私がしておきますから」


タイミングを見計らったように、ジェイドがみんなにそう言った。
みんなはジェイドに言われた通りに眠りについた。


「貴女ももう少し休んで下さい。まだ完全に回復していないんですから」
「……うん」


そのまま後ろに倒れ、ジェイドが膝枕をしてくれる。


「……ジェイド。手……握ってくれる……?」
「もちろんです」


自分でも良く分からなかったけれど、何故か温もりが欲しくなった。
ジェイドは少し驚いた表情をした後に微笑んで、あたしの手を指を絡ませて握ってくれた。


こんな状態だからなのかな……物凄く安心する……
ジェイドの香水の匂いも落ち着くし……


そんなことを思っていると、段々と眠気が襲って来た。


「おやすみなさい」
「ん…………」


うとうとし始めたあたしに気付いたジェイドが、あたしに優しくキスをしてくれた。
そしてあたしはそのまま眠りについた。

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あきゅろす。
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