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あなたの傍に
No.5


甲板の上部の艦橋ブリッジ入口までやって来たあたし達。
だが、見張りが居る為、ティアが譜歌を詠って眠らせた。


「……アホ面して寝てやがる」
「ティアさん、凄いですの!」
「タルタロスを取り返しましょう。ティア、手伝って下さい」


……え?あたしじゃなくてティアなの……?


「おや?どうしました、ソフィア。もしかして嫉妬ですか?」
「ち、違うわよっ!」
「そうですか?そうだと嬉しかったのですが」


楽しそうに笑うジェイドを見て、あたしは「絶対確信犯だわ……」と思いながらジェイドを睨みつけた。


「では、ソフィアはルークをお願いしますね」
「……分かったわ」


ジェイドは苦笑しながら言い、あたしはさっさと行きなさいよ、という目で見送った。


「しかしまー、あんな攻撃でどうして寝ちまうのかねぇ」
「ティアさんの譜歌は第七音素セブンスフォニムですの」


ジェイドとティアが中に入った後、ルークとミュウが寝ている神託の盾オラクル兵を見ながら話を始めた。


「またそれだ。第七音素セブンスフォニムってなんだよ」
「何って、七番目の音素フォニムですの。新しく発見された、音の属性を持つ音素ですの」


うーん……間違ってはいないけど、ちょっと説明不足かしら……


預言スコア第七音素セブンスフォニムですの。特別ですの」
「だーっ!お前の喋り方うぜっつーの!」
「ごめんなさいですの〜!」
「ちょっと、ルーク!やめなさい!」


ルークがミュウの耳を掴んで振り回すと、遠心力のせいなのかミュウの口から炎が出た。
すると、炎が寝ていた神託の盾オラクル兵に当たり、びくっと動いた。


「お、驚かせやがって……!一生寝てろ、タコ!」


嘘でしょ、何してくれてるのよ!!


ルークが蹴ったせいで神託の盾オラクル兵は起き上がり、剣を構えた。


「し、死ね!」
「……ひ……く、来るなっ!」
「ルーク!!」


神託の盾オラクル兵がルークに斬り掛かろうとし、あたしは咄嗟に間に割り込んだ。


「うっ……!」
「ソフィア……!?」


ルークを庇って右腕を斬られ、あたしは思わず膝を地面につけた。


「ルーク!貴方だけでも逃げなさい!」
「お、俺は……」
「死ねぇっ!」
「っ!」
「う、うわぁぁっ!」


怪我をして動けないあたしを見て、神託の盾オラクル兵があたしに襲い掛かって来た。
すると、ルークが震えながらも剣を抜いて神託の盾兵を刺した。


「な、何が起きたの!?」


騒ぎを聞きつけたのか、ジェイドとティアが中から出て来た。


「ソフィア!?どうしたのですか!?」
「ルークを庇って、ちょっと……大丈夫よ、これぐらい自分で治せるから」


怪我をしたあたしを見たジェイドが珍しく慌てた様子であたしの傍に駆け寄ってきた。
あたしはそんなジェイドに大丈夫だと笑ってみせて、斬られたところに治癒術を掛けた。


「お願いですからあまり無茶をしないで下さい」
「分かってるわよ。ジェイドを置いて死ねないもの」
「さ……刺した……俺が……殺した……?」


ジェイドとあたしが会話をしていると、ルークが震えた声でそう呟いた。


それはそうよね……初めて人を殺したんだもの……


すると、上から苛立ったような声が降ってきた。


「人を殺すことが怖いなら、剣なんか棄てちまいな!この出来損ないが!」
「っ!ジェイド!」


その瞬間、音素フォニムを感じてあたしはジェイドの名前を呼んだ。
ジェイドは素早くあたしを抱き上げてその場を離れたが、ルークとティアは譜術を受けて気絶してしまった。


「流石は死霊使いネクロマンサー殿と守護女神様。しぶとくていらっしゃる」
「………………」
「…………!?」


上から飛び降りてきてあたしとジェイドの前に現れたのは、ルークと瓜二つの青年だった。


「隊長、こいつらはいかがしますか」


いつの間にか神託の盾オラクル兵が集まっており、数人の神託の盾兵が気絶したルークとティアに剣を向けていた。


「殺せ」
「待て、アッシュ!閣下のご命令を忘れたか?それとも我を通すつもりか?」
「……リグレットか」


神託の盾オラクル兵の後ろに居たリグレットと呼ばれた女性が、アッシュと呼んだ青年を止めた。


魔弾のリグレットに鮮血のアッシュ……!?
それに、黒獅子ラルゴも居たし……
六神将が揃いも揃ってタルタロスを襲うなんて……!


「ちっ。捕らえてどこかの船室にでも閉じ込めておけ!」


アッシュにそう命じられた神託の盾オラクル兵はあたし達の武器を取り上げ、船室に閉じ込めた。

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あきゅろす。
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