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あなたの傍に
No.1



タルタロスに乗り込んだあたし達は、船室でジェイドがルークとティアに尋問をしていた。


「……第七音素セブンスフォニムの超振動は、キムラスカ・ランバルディア王国王都方面から発生。マルクト帝国領土、タタル渓谷付近にて収束しました。超振動の発生源があなた方なら、不正に国境を越え、侵入して来たことになりますね」
「へっ、ねちねちイヤミな奴だな」
「へへ〜、イヤミだって💖大佐💖」
「傷つきましたねぇ」


とてもそんな風には聞こえないけど……


「ま、それはさておき、ティアが神託の盾オラクル騎士団だということは聞きました。ではルーク、貴方のフルネームは?」
「ルーク・フォン・ファブレ。お前らが誘拐に失敗したルーク様だよ」


ファブレ……!?まさか、あのファブレ公爵……!?
それより、あたし達が誘拐に失敗したってどういうこと……?


「キムラスカ王室と姻戚関係にある、あのファブレ公爵のご子息……という訳ですか」
「公爵……💖素敵……💖」


アニス、目がハートになってるわよ……
相変わらず玉の輿を目指してるのね……


「何故マルクト帝国へ?それに誘拐などと……穏やかではありませんね」
「誘拐のことはともかく、今回の件は私の第七音素セブンスフォニムとルークの第七音素が超振動を引き起こしただけです。ファブレ公爵家によるマルクトへの敵対行動ではありません」
「大佐。ティアの言う通りでしょう。彼に敵意は感じません」
「あたしも、そう思うわ」
「……まあ、そのようですね。温室育ちのようですから、世界情勢には疎いようですし」


またこの人はそんなことを……


「けっ、バカにしやがって」
「ここはむしろ、協力をお願いしませんか?」
「そうですね、私はイオン様に賛同します。……ジェイドは?」
「仕方ありませんね……ソフィア、説明を」


面倒だからって説明をあたしにさせるのは恋人になっても一緒なのね……


「……あたし達はマルクト帝国皇帝、ピオニー九世陛下の勅命によってキムラスカ王国へ向かっているの」
「まさか、宣戦布告……?」
「宣戦布告って……戦争が始まるのか!?」
「逆ですよぅ。ルーク様ぁ💖戦争を止める為に、私達が動いているんです」


あー、もうルークに目を付けてる……


「アニス。不用意に喋ってはいけませんね」
「戦争を止める?……って言うか、そんなにやばかったのか?キムラスカとマルクトの関係って」
「知らないのは貴方だけだと思うわ」
「……お前もイヤミだな」
「これからあなた方を解放します。軍事機密に関わる場所以外は全て立ち入りを許可しましょう」
「ジェイド!?」


思ってもいなかったことをジェイドが口にして、あたしは驚いた。


「まず私達を知って下さい。その上で信じられると思えたら力を貸して欲しいのです。戦争を起こさせない為に」
「協力して欲しいんなら、詳しい話をしてくれれば良いだろ」
「説明してなお、ご協力頂けない場合、あなた方を軟禁しなければなりません」
「何……!」
「ことは国家機密です。ですからその前に決心を促しているのですよ。どうか、よろしくお願いします」


そう言ってジェイドは船室から出て行った。


「あたしからもお願いね、ルーク」


あたしもルークにそう言い残し、ジェイドの後を追って船室を出た。

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あきゅろす。
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