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=入口=
砂丘の木陰で
此処は何もありません
眺めるには退屈し
無視をするにもよく眠れず
絶えず何かしらの音がします
けれども
此処は何もありません
ちょうど真上の空に
赤いような黄色いような
何とも不気味な色合いで
高く啼く鳥がやっと
一羽だけで旋回しています
手を振ってみますが
なんだか余計な疲れを背負って
小さくも大きくもない
夢のような木の幹を見つめるのです…

そんな話をしていたら
あなたばかじゃないの
とよく知りもしない女が
いつの間にやら
綺麗なんだか曖昧なんだか
よく判らないような緑の酒で
けたけたと笑いながら肩を叩く
あなただれですか
錆び付いた椅子が
マスターに気付かれないように
だけど私には聞こえる
自己主張をよろしく
キイキイと音を立てた
その間に世界は揺れて
水割りの滴がとんでもなく
派手に流れることに驚いたりする
プラスチック皿に似た色合いの
洒落てもいない器に
冷凍食品を無理矢理作り直したような
とんでもない味付けの
ただのフライドポテトの山盛り
そこに刺さった国旗に
あなたばかじゃないの
と言われる具合の妄想祭り
この店は蠅がうるさい
誰も気をとめない
そんなことよりあなただれですか
割りと好みのタイプなので
気のないふりもそこそこに
水滴を掴んで笑い返す
聞いたところで
砂丘の木陰での話なんか
きっと覚えてやしないのだけど




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あきゅろす。
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