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=入口=
「愛なんかいらないよね?」
彼女はどうやって終わりを選んだのか

私の知っている彼女なら
たぶんいくらも泣かない内に
さらっと言えたと思う
お別れの言葉は単純だから

私の知らない彼女は
たくさん泣いて
それから私に答えを求めた

欲しかったのは、否定

私はずっと彼女を愛していたので
彼女の望む答えをあげる事は
どうしても出来なかった

出来ないと分かっていても
私の口はいつも嘘を吐く
なのに何故かその時は
「そうだね」と答えていた

それは彼女を絶望させた、肯定

彼女はどうやって終わりを選んだのか
それは私の知らない彼女が
唯一度だけ私に縋った後だった

私はずっと彼女を愛している

愛は得るものではなく
与えるものだと信じている

彼女が終わりを選んだ後の私も
あの時「そんなことはない」と言えば
良かった、なんてことは思わない

ただ私にはもう
答えを求められる相手は居なくなった

彼女はきっと
幸せだったに違いない




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