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=入口=
命の続きを誘う衝動
緩やかな坂を下ると
ただの一輪だけで
薔薇が目を奪う

あれに先行く歩を停めれば
白い日傘を差した少女が
そっと涙を浮かべ近付いて来る
なので私はあれを見ない

嗚呼、掴めそうもない溜め息で
くるり、くるり、背に未練

可愛らしい手をして
ただの一輪だけの
薔薇を食んでご馳走さま

あれに目を停めたとしても
その先に歩み寄る影にはくれない
白い日傘の少女だよ
サヨナラ薔薇薔薇 行って

嗚呼、掴めそうもない溜め息で
ちろり、ちろり、背に愛情

哀しいの
「私の血は薔薇色の香り」

それを知るから哀しいの
少女の永続される美しさを
私は知らぬ素振りですれ違う

緩やかな坂を下ると
ただの一輪だけで
薔薇が目を奪う

それはまるで誘惑に似て

嗚呼、掴めそうもない溜め息で
はらり、はらり、背に捩れ




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あきゅろす。
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