=入口=
CHUCHU
足の爪を切った
放ったらかしで伸びきって
ついでに欠けた爪を切った
手の爪を切った
大切に伸ばしていたけれど
綺麗にマニキュア塗ったけど
可愛い子にはなれないから
CHUCHU 鏡を見ても泣けないのは
CHUCHU 愛を求める衝動まで捨て切れない
自分を抱いた
優しく抱いた
だけどちっとも泣けやしない
髪を黒く染めた
似合わないのに一番私らしい
私らしいのにちょっとダサくて笑った
お洋服を捨てた
去年買ったお気に入りも
今年買った流行服も
全部同じゴミ袋の中でくたびれてる
CHUCHU 冷たい壁に寄り添っても
CHUCHU キスをねだる私が消えない
お化粧品を捨てた
買い替えたばかりのファンデから
愛用してたマスカラも
同系色ばかりの口紅もみんな捨てた
３９８の下着を纏って
クローゼットの奥で眠ってたボロを着て
つっ掛けた母のサンダルで
全部全部捨ててしまう
目を閉じていた
囁いていた
だけどちっとも泣けやしない
ぼやけた世界に
独りぼっちだなんて思い出す
次の恋まで俯いてたら逃げ出しそうよ
だけどちっとも泣けやしないから
CHUCHU 泣いてなんかいない
CHUCHU 手を繋ぎたいなんて思わない
そっと横たわったベッドシーツに
捨て忘れた香りが残っている
次のゴミ出しはたしか火曜日
それまでちっとも泣けないのかな
それまでだけなら忘れなくて良いのかな
CHUCHU 浅い眠りが明ける寸でに
CHUCHU 零れた涙を堪えてる
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