=入口=
繭を解く
垂れた腕を繋げた体
虚を見据えて止どめた瞳
千切れた木漏れ日に
透けそうに鈍いビー玉と
秘密を暴いたポトスの気根
だから言ったでしょう？
アナタには守れない
約束も、未来にかけた愛も
私達には守れない
汗ばむ首筋が求めた温度
生まれたての恐ろしさをちりばめた
泣きそうな色に染まる頬
純情な肌を捲る寒さと
濡れた髪を纏めた現実
最初は試すつもりで
頭を振る蚕に与えた指輪
包まれた永遠も
いつしか壊れぬよう祈りだした
シーツを洗う風の足先
艶やかな記憶を抱いた箪笥
葡萄色のスカートを翻して
キスをねだる柔順な乳房
煙草を喫んでも構わない？
解けた繭から転がる過去
何処かに忘れた傘のような
翔ばない羽に背負った罪状
輝きを失った灰赤色
だから言ったでしょう？
祈らなくても壊れはしない
アナタには守れない
私達には守れない
欲望にとろけた愛は
形を成さず冷えるばかりで
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