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=入口=
夕立
静の時を終えて
右瞼に宿る君の面影を
片手で塞いで忘れに行く
それは遥かの空

優しい指先は
非力に震えて温い
繋がる吐息は
涙を含んで少し重い
哀しくなったのは何故だろう
失うと知れていたからかな

たどたどしく笑う
忘れえぬ君を
どうやっても守りきれない
とどめておけない
無力な記憶
一番に切り捨てていられたら
こんなに未練も無かったのかな

両目を塞いで
相変わらずの君を追う
小さな肩に悲哀が滲んで
夕立過ぎるカスミの中に佇む別れ

その刹那の思い出にさえ
この身を落とす代償は軽い




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