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=入口=
星のつくりかた
傘を広げて
ゴメンネ と呟く
君が寂しそうに頷くのを
ゴメンネ と見ないふりした

濡れた足下を
光る小石が見上げている
湿度の高い視線に
幾らかの雨粒に似た水滴が落ちた

意識的に右足を出す
無意識にブレーキをかける
傘を上げたら
もう君はいないと分かってるから
いつまでもそのまま
暗い空が夜になるのを待っている

サヨナラ と呟く
僕の声が震えるのを
サヨナラ と気付かないふりして
君は傘を広げず帰った

意味の無い声が続いていた
無理矢理意味を付け足す
「傘を上げたら
もう君はいないと分かってるから」
左足がそっとぬかるみを踏んで

泣きやめ! と祈った
待つのはやめて走り出す
泣きやめ! と願って
傘を閉じたら雨はやんでいた

きっと君も
同じ空を見上げているだろう
同じ空の下を
夜がくる前に帰ることにした
蹴り上げた光る小石は
湿度の高い空に見えなくなった

きっとあの雲の向こうで
星になったに違いない




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