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=入口=
lost
俺の体は 何処で朽ちるだろう
あの夏の日に 尽きた命の下?
ガレージで干涸びた 恋人の手の下か…

悲しみばかりを食べて
いつの間にこんなになっちまった
触れると崩れて キスが刺さる
些細な気紛れに苦しんだ過去も
薄幸だと嘆いた未来のような
綺麗な御伽噺にもなれなかったね

貴女は どうして微笑むの
慈愛も慈悲も切り捨てる狡猾さで
何もかもを嘘にするような滑稽さで

俺は なんで泣かないの
屈辱に耐えて捧げた忠誠のように
へし折られた夢物語に縋る醜さのように

これが愛だと言ったよね
貴女の傷を受け入れられず
貴女に甘えて強要した乖離を
確信に満ちた眼で包み込んだこれを
貴女は許しながら逝ったのに
俺には愛だなんて思えないよ
ただそれが 貴女を繋ぐ全てだったから

喪失の果てで 冷たい熱が腐蝕して
新しい時間を拒絶しながら
生まれたての子供のように 抱かれて
微かな偽装を積み重ねた
僅かな残虐を繰り返した
それでも好きだったんだよ 本当に

俺の体は 何処で朽ちるだろう
ねじ曲がった体を捨てた 想いの中?
孤独を与えた 罪の中か…

俺の魂は 何処で朽ちるだろう
貴女に出会った運命の傍らで?
運命を嘲笑った皮肉の傍らか…

貴女の記憶は 何処で朽ちるだろう
俺の全ての終わりと共に?
…終わりの始まりには 消失したはずで
朽ちたのは 俺の想いだったのだろう

何度でも 愛を議論して
貴女の微笑みを理解する日が
例え何度もの果てに こなくても
永遠を忘れて 静かに問い続けよう
痛みを融合しながら 貴女を
統合しながら 繋ぎ続けよう

俺の微笑みは 何処で朽ちるだろう?

――――――――――――

「殺しても良いよ」
「死んでも良いよ」
「忘れても良いよ」
「終らせて良いよ」
「あなたも一緒なら」
「あなたには愛じゃなくても」
「それがあたしの愛だよ」
最後の言葉は もう耳鳴りで聞こえない

「…許 し て」




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