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ヴァレンチノ編
期間限定拍手/ヴァレンチノ編(ジョージ+ルディー)





「おはようっす、ジョージ!」

俺のオフィスの朝は毎日、この少しイタリア訛りが混じった声が響くところから始まる。

「おはよう、ルディー」

今日ジューンはここに来ないぞ、と付け加えようと思ったが、目を新聞から彼に移すとジューンを探してる風が全くなかった。いつもみたいにきょろきょろしていない。というより、一直線に俺に向かってくる気配がする。
まあ、ルディーは元から人見知りはあまりしない性格らしいから、出会って何日かで直ぐに打ち解けた。しかし最近感じるのは、仕事を超えた関係、言うなれば「友情」に確実に近づいている、ということ。

「俺と同じだ!」

ルディーが俺に近付いて、とても嬉しそうに話しかけてくる。何が同じなのかと言うと、髪型だ。俺がこうするとやけに喜ぶので、今流行りのヴァレンチノ・ヘアをたまに披露する。椅子に座ったままだった俺はくるりと回転して、強いくせ毛をポマードで撫で付けた髪を見せた。ルディーはくすくすと笑い、ところどころ跳ねている部分に触れながら俺の目をしっかりと見つめて「似合ってる」と微笑む。

「…」

何だか気恥ずかしくなった。これじゃあ女たらしじゃなくて人間たらしだ。でも本人にその自覚はなく、ただ単に俺に懐いているだけだと分かる。だから文句を言いたくても言えやしない。イタリアの男、ってのは皆こんなもんだったか…?

「さあほら、スタジオに行くぞ!」

頭に触れる人間たらしの手を取り、引っ張ってオフィスを出ようと歩き出した。スクリーンテストに遅れる訳にはいかない。

すると、何故かそれに反発するような力を感じ、俺は後ろを振り返る。ルディーは足を前に出さず、不安げな表情で視線を逸らした。

その仕草は少年の様に幼く、さっきまで読んでいた新聞で大絶賛だったルドルフ・ヴァレンチノのイメージからはほど遠い。

「…俺の夢、叶うよね?」

すまない、この時の俺は、君が本当に追い求めていたものをまだ何も知らなかったんだ。
きっと何か信じられるものが欲しくて、小さな声で俺に尋ねてきたんだろうに。

「もちろんだ、心配するな」

俺の返事に安心したのか、はっと顔を上げた目の前の“ラテン・ラヴァー”は人懐こい笑顔を浮かべていた。





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拍手ありがとうございます!

ヴァレンチノ観劇記念の期間限定拍手お礼です。

ルディーとジョージの深い友情にえらく感動した+ルディーの可愛らしさにまいったので、ぽちぽちと文字を打ってみました。

更新頑張ります!

またのお越しを心よりお待ちしております。

(2011/08/17〜09/19)

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あきゅろす。
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