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スカーレット・ピンパーネル編
期間限定拍手/スカーレット・ピンパーネル編(ショーヴラン×アルマン)





「奴を庇った所で、お前には何の得もない」

石造りの何もない牢の中、情など自ら握り潰した様子で言い放つショーヴランと対峙するのは、鎖で壁に繋がれたアルマン・サン・ジュストだった。この者は、革命政府を邪魔する疎ましき存在、スカーレット・ピンパーネルと関わりを持つ容疑で捕らわれたばかりだ。

「もう一度問おう。スカーレット・ピンパーネルは誰なんだ?」

「…」

頑なに口を閉ざすアルマンに、ショーヴランは冷酷な鞭をふるう。痛みと衝撃でもがく度、腕と足に嵌められた鎖がギリギリと軋んだ。

「うっ!…く」

アルマンは口元に血を滲ませてショーヴランを睨み付ける。しかしそれはショーヴラン個人に対してではなく、フランスを狂わせているジャコバン党に向けての怒りだった。こんな酷い仕打ちをされてもアルマンは憎しみに支配されず、瞳の奥には希望の光が宿っていた。

この目を何処かで見たことがある。ああ…こいつの姉、マルグリットの目だ。彼女の何者にも屈しない気位の高さを思うと、捩じ伏せてやりたくなる。今のアルマンにもそれを感じずにはいられない。

「お前達は本当によく似ているな」

「……姉さんのことを…言っているのか…」

「いつまでも口を割らないのなら、マルグリットにも容疑がかかるぞ」

「姉さんは何の関係もない!そんな卑怯な、」

「うるさい!」

ショーヴランはアルマンの鳩尾を蹴り上げた。アルマンは低い呻き声をあげ、ぐったりと項垂れる。気絶して全身の力が抜けても、繋がれた鎖のせいで床に倒れることはない。

アルマンの顎を乱暴に掴み、上を向かせた。

ショーヴランは気を失ったアルマンにそのまま口づけをする。僅かに感じた血の味はひどく甘かった。

「……マルグリット…」

マルグリットさえ傍にいてくれたら、全てが元通りになるはずだと心が叫んでいた。自分が今まで突き進んできた道は決して間違ってはいなかったのだと思える証――そう、あの頃共に夢を見た少女の面影を残す彼女が必要なのだ。

「どうすれば君を取り戻せる…?」

青年を抱き締めながら呟いた言葉は、すぐさま闇に消えた。



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拍手ありがとうございます!

月組のスカーレット・ピンパーネル観劇記念の期間限定拍手お礼です。

ショーヴランが気に入ったので、アルマンを捕らえた時「こうだったらいいなぁ〜」なんて思いながら書いてみました。

更新頑張ります!

またのお越しを心よりお待ちしております。

(2010/07/05〜08/04)

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