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赤橙(脱色 一角×弓親)





雨なんて吹っ飛ばしちゃおう企画その2・角弓編





一人きりの夜を迎える前に、互いの心を繋げようか。



『赤橙』




現世は朝から暗くて雨が降っていたけれど、ようやく綺麗な空になった。

「…美しいな…」

空気が澄み渡った夕空に弓親は思わず見とれる。雲の端が橙色に光り輝いていた。

こういう時に一角が傍にいないことを、弓親はとても残念に思う。一角とこの感動を共有できたらどんなに心が満たされるだろう。

「…一人で現世に来るんじゃなかったな…ま、一角が昼寝してたのが悪いんだけど」

君は、この夕焼けを見てるかい?

大丈夫だよ

心はいつも君と一緒だ



―――――――――――



隊舎へと戻る途中、水たまりに映った橙色の雲がふいに一角の足を止めた。

「…」

夕焼けの雲が何故これ程までに己を惹きつけるのか、一角自身解らなかった。弓親ならともかく、一角は普段景色に興味を持つことはない。

不思議な気分で水たまりを見つめていた一角はひらめいた答えに苦笑する。

ああ…この色は、

弓親だ。

振り向けば必ず視界に入る、首と腕の鮮やかな橙色。

「…だからか」

呟きながら一角は後ろを振り返る。
もちろんそこには誰もいない。

「早く帰ってこいよ。」

記憶の中の弓親に向かって呼びかけた。





(2009/08/03)

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