other(Fujimi+α)
effeto di pioggia
雨なんて吹っ飛ばしちゃおう企画その1・イダイガ編
『effeto di pioggia』
さあフジミに行こうと思って、アパートの扉に鍵をかけて、階段を降りて、道路を5歩あるいたところで。
信じられない程の大雨!雷付きのスコールだ!
急いでアパートに戻って、階段を上がって、アパートの扉の鍵を開けて、タオルでチェロケースを拭いた。中は無事だった。よかった〜。
傘を持ってもう一度外へ出る。
どうしよう。傘をさしたってこんなどしゃ降りではべちょべちょになるよ。体は勿論のこと、大事なチェロも。
チェロだけはどうしても避けなきゃならない。
タクシーでも呼ぶか?ああ、でもそんな金もったいない。
フジミを休むか?それじゃ飯田さんに会えない。
アパートの階段でジタバタしていると、目の前にタクシーが停まった。車の窓がスーって開く。
「おい先輩!迎えに来たぞ早く乗れ!」
なんと飯田さんだった。突然のことでロクな返事もできないまま、空けてくれた席にチェロケース共々すべり込む。
「あれ、延原さんは?」
「あ?お前の席空けときゃならねぇから、ノベは別の車だ」
「てか飯田さん!なんで俺が困ってたのわかったんすか?」
余りのタイミングの良さに驚きを隠せない俺の顔を見て笑いながら、
「お前のことは全てお見通しなの。健人くん」
と飯田さんは言った。
いかにも冗談ぽかったけど、心臓が跳ねた。
ねえ飯田さん。それじゃあ、俺の今の気持ちもわかりますか?
(2009/08/03)
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