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main(Takarazuka)
望郷歌/2





「オウスノミコト、サルメとサダルが参りました」

自分を呼ぶ家臣の声で巫女達の踊りから視線を外したオウスは、片膝をつき礼をする二人の青年と出会った。明日から共に旅をするサルメとサダルは兄弟であり、サルタヒコとアメノウズメの子孫だという。

「オウスノミコト、サルメと申します」

片方の青年が顔を上げた。オウスより少しばかり小柄なサルメは大きく力強い目をしており、例えるなら太陽のような熱と力を備えた猛者だとすぐに理解した。

「サダルと申します」

もう一人の青年がゆっくりと顔を上げた。サダルもサルメと同じく力強い目をしていたが、兄のような熱っぽさはあまりなく、言うなれば月のようにひっそりと光輝くものだとオウスは感じた。

「サルメとサダルか。私のことはオウスと呼んでくれ。明日から一緒に旅をするんだ、私は君たちと友になりたい。堅苦しい言葉遣いも無しだよ」

その言葉にサルメとサダルは驚いていた。ヤマトを治めるスメラミコトの息子は、自分たちと友人として接したいと…いつかは上に立ち国を導く存在がこんなにも優しさと暖かみに満ち溢れた者だとは。オウスにならついていける。二人はそう確信した。

「…わかった。ではオウス、友になった証として私とサダルに舞わせてくれないか」

サルメがそう言いつつサダルに目配せをし、サダルもこくりと頷いた。

サルメとサダルが舞う、となると周囲の人々は皆期待した。というのも、二人は芸能の神アメノウズメの子孫だからだ。アマテラスを岩戸から引っ張りだす程の舞が、二人の血に受け継がれているに違いない。オウスは皆の痛いくらいの視線が二人に注がれているのを心配したが、当の本人達は慣れているのか気にした様子は全く無かった。







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