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幻想/うちはイタチ



ポタ…


ポタ…




地面に涙の痕が残る。



そしてそれは少しずつ増えていく。





「うっ…イタ、チィ…」



先日、弟サスケとの戦いで亡き者となってしまった最愛の人の名を呼ぶ。



「…寂しい…よ…」




思わず呟く。


一体これで何度目だろう…




貴方はサスケが強くなってほしいと願っていた。




だから私は貴方が死んだと聞いた時も“イタチ…良かったね…”と辛いのを我慢した…



貴方がサスケに強くなってほしいと願っていたから…



サスケが貴方を殺したときも…サスケを憎まないようにした…





でもマダラさんから真実を聞いたとき…




私は、何も知らずに貴方を殺したサスケを恨んだ…





そしてあたしはサスケへの復讐を決めたの。




ごめんね…イタチ…



貴方の守ったもの守れそうにないみたい…




そしてふっと上を見上げれば心がしめつけられそうな、青くきれいな空が澄み渡っていた。



そんな空を見ると…愛しい貴方の顔が見えそうで…いっそう涙が流れる。




するといきなり後ろから名前を呼ばれた…





振り向くと死んだはずの愛しい人の姿が…




「…イタ…チ?…なんでここにいるの…?」




そう尋ねると、少し悲しそうな顔をして




鼬「お前が悲しんでいたから…」


「え……」



あたしが悲しんでいたから…?


でもそれは…




「…そんな…しょうがないよ…だって貴方を失ったんだもの…生きる気力もないよ…」



と言うと彼は優しく、そして寂しそうに微笑んで…




鼬「悲しくても…お前は生きろ…」


「!…貴方がいない世界じゃ私はどうしようもないの…あなたのところへ行かせて…」





するとイタチがあたしの前に来てぎゅっと抱きしめ、そっと耳元で囁いた。



鼬「俺のために人生を無駄にするな…そして俺の分まで笑ってくれ…」


「…貴方にそんなこと言われたら…そうするしかないじゃない…」




ふっと微笑みイタチの目を見つめる。






「…これから先…どんなに辛いことがあっても笑い続けるよ…貴方のために…」


鼬「…ありがとう…」




イタチは嬉しそうにお礼を言うと、すぅっと消えていなくなった。






(幻想)


(今あったことは夢か現実かなんてわかんないけど…)


(…たくさん救ってくれて…ほんとに今までありがとう…)




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あきゅろす。
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