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書物
タンポポ (阿一)


ふわふわ


ふわふわ


風に流れていく




*****




「こんにちはー、一護いますk……失礼しました。」



「一護君、書類を……また後にするよ」



遊びの誘い、仕事、その他諸々。今朝だけでこれで何度目だ。


普段は近づきもしねぇくせにこういう時だけこいつ目当てで此処に人が集まってくる。


どいつもこいつも。一護、一護、一護。




いつも、簡単に誘いに乗るこいつもこいつだ。


確かに俺は日中なかなか構ってはやれない。


現に昨日も、ヤって、寝て、終わりだ。




――それでもこいつは自分の側にいる。



名前を呼ぶと、他のヤツには見せない笑顔で俺に応える。




「そんなに俺の事好きかよ。」



そんな優越感に浸りながら、煙管に火をつけ柔らかい髪に指を梳いた。




「ん……」


「よぉ、お目覚めか」



阿近さん、とまだどこか眠気の混じった声で俺を呼ぶ。



「だるい……」



そう言ってぽつ、ぽつ、と昨晩の情事の痕を色濃く残したままの身体を起こそうとする。


が、また俺の上に引き戻してやる。一瞬冷えた膝にまた熱が戻る。



「まだ寝てろ」


「でも、もう昼過ぎだし……」


「身体、だるいだろうが」




「……じゃあ、お茶とって」


「あ?自分で取れ」


「腰痛くて動けないんだけど。」



誰のせいだよ、と言わんばかりに頬に空気を溜め、少し口を尖らせる。


それにほだされる俺も甘い。



「……取ってやるから、どけ」


「阿近さんが寝かせた癖に。」


「うるせぇ、とっととどけ」


「やだ」



「……じゃあ取れねぇな」


「それもやだー」



寝起きに言動が幼くなるのはいつもの事。




「この我侭小僧が」


「我侭はどっちだよバカ阿近。」



そう言って批難しつつも、柔らかな表情を浮かべる。




「あのな、阿近さんが、今日一緒に過ごしてくれるなら我侭言わない」


「……しょうがねぇな、お前は」



元よりそのつもりだよ、馬鹿野郎が。







全く、こいつには敵わねぇな。




捕らわれたのは、間違いなく、俺の方だった。








*****

ふとした日常。そして我侭阿近。

どっちもヤキモチ焼きだといいよ!






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