イナイレ・イナGO(短編)
初めの一歩(神童拓人)
俺が泣いているとき彼女はいつも傍にいてくれた。
俺が泣いているとき彼女はいつも優しい言葉をかけてくれた。
俺が嬉しいと彼女も嬉しいと言ってくれた。
その言葉を聞いて俺はもっと嬉しくなった。
この関係が続いてくれるのならばそれで十分だと思っていた。
でも、段々それでは満足できなくなっていた。
「拓人。早く一緒に帰ろう。」
「ああ、今行く。」
だから、変えようと決意した。
「…名前。」
「ん?なに〜??」
「あ…えっと…」
怖くなって、言葉が詰まる。
「どうかしたの??」
これを言わなければいつまでたってもこのままだ。
…このままの方が良いのかも知れない。そんな考えが頭をよぎる。
いや、駄目だ。このままじゃ…駄目なんだ。弱い、泣き虫なんかじゃ。
「…大事な話があるんだ。聞いてくれ。」
「うん。わかった。」
「俺は名前が…」
「うん…」
泣かないでちゃんと言おう。
「ずっと前から好きだった。」
初めの一歩。少しでも前に進めたのならそれでいい。
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