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イナイレ・イナGO(短編)
お兄ちゃん(剣城優一)
私は昔からお兄ちゃんが欲しかった。

10歳の時怪我で少しの間入院することになった。
その時病院で会った、私の理想通りのお兄ちゃんのような人。
今、目の前にいる人。理想的なお兄ちゃんだった。
私はなんて言ったかよく覚えてないけど知らないうちに
怪我が治っても会いに来るようにまでなっていた。
優しくて、かっこよくて、私がお兄ちゃんって呼んでいい?
なんて言ってみたら、笑いながら「いいよ。可愛い妹ができたな。」と言ってくれた。
初めは嬉しかった。本当にお兄ちゃんができたようで。

あれから、約3年。今は何でこんなに苦しいんだろう。

「名前ちゃん。如何したの?何かあった??」

「…ううん。何にもないよ。」

「なら良いんだけど…辛い事とかあったらいつでも言うんだよ?力になれるかはわからないけど、少しでも楽になれるように、ね?」

「うん。有難う。」

本当の兄妹でもないんだ。
終わらせようと思ったらきっといつでも終わらせれる関係。
もちろん、私が望むような良い方向に終わるというならいつでも終わらせる。
悪い方向に終わるかもしれない。この考えが頭から離れない。
怖くて恐くて毎日毎日如何すればいいのかわからなくなる。
無限なのか有限なのかそれすらもわからない様な優一さんの優しさに溺れてしまいそうで…

「…っ!!」

「本当に大丈夫??」

心配そうな優一さんの顔が近くにある。

「え!?あ、ごめん。ちょっと、体調が悪いから、今日はもう帰るね!!」

このまま、一緒にいたら可愛い妹でいれなくなりそうで咄嗟に嘘をついてしまう。

「…うん。気を付けてね。」

一瞬間のおいた返事に全て見透かされてるような気がして

「うん。また明日!」

それだけ言ってすぐに病室を出た。

一歩踏み出せば絶対に何か変わる。
だけど、その何かが怖くて今日も私は何もできていない。
何もしなければいつか終わってしまいそうなこの関係を終わらせないように必死になって、
明日はどんな顔で、なんの話を“お兄ちゃん”とするかを考える。


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あきゅろす。
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