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押し倒せば分かること(クラピカ)

眠っていた身体が突然、沈んでいくような感覚に襲われ、私は少し驚いてゆっくり目を開けた。
「きいろい…」
おかしいな、私がいるこの部屋の天井は白だったはずなのに。電気が点けっぱなしだったのだろうか。
消さなくちゃ、でも、身体は鉛のように重たくて、ベットに反発する力もない。
仕方ない、電気代が勿体ないがあきらめよう、と再び目を閉じようとしたその時だった。
「サヤ」
と穏やかな声が聞こえ、みると
「…へ」
「大丈夫か?」
「え、あ…はい」
「どうした?」
そうか、黄色く見えたのはクラピカの髪だったのか…と三秒。ちゃんと目が覚めてくるのにプラス十秒ほど。そして、状況を理解するのに…更に十秒。
「ちよ、え…え?」
何この状況。というか、体勢!「どうした?」じゃないですクラピカさん。
押し倒されてる。マウントポジション取られてる。これは…よくない体勢!
取り敢えず急いで起き上がろうとすると、おでこを押さえられた。鎖がひんやりして気持ちいい。
…じゃ、なくて。
そんなことされたら起き上がれませんよクラピカさん。というか、中性的で体重も軽いと思ってたけど、貴方普通に重さあったね。
なんて、寝起きで回らない頭でアタフタしていると、クラピカが真剣な顔で
「やはり、熱がある」
「ねつ?」
と聞き返せば、先程までの私の苦労は何だったのか、彼は私から離れて、持参してきたであろう体温計と飲み物を私にくれた。


「38度5分…熱だね」
「だから言ったろう」
様子を見に来て良かった、と呟く彼の隣にある時計はお昼をすっかり回っている。
「なんかもう、本当、すみませんでした…」
変な勘違いまでして。心の中でそう付けたしながら謝ると、クラピカは苦笑しながら言った。
「まぁ、女性が鍵も開けっ放しで寝ているのはどうかと思ったが…」「すみません…」
「こうして駆けつける事が出来た訳だし、よしとしよう。今度から気を付けてな」
「うん」
どうやら彼は仕事の途中に様子を見に来てくれたらしい。私は今日オフなんだからほっといてもいいはずなのに。本当に、優しい人だ。

ボスの護衛を再開する時間なので、部屋を出ようとする彼をベットから見送る。鍵は彼に預けた。
「じゃあ、仕事が終わったらまた来る」
「ん、わざわざありがと」
そうしてドアの前に立った彼は、爆弾を落とした。

「一応言っておくが、サヤ」
「ん?」
「部屋着でも、ちゃんと襟元が閉まる服を着てくれ」
「え、」
「次来る時同じ格好だったら、素直に離せる自信がないよ」
「………はい」

ではまた、
扉が閉まる直前に見えた顔は心なしか赤く見えた。
で、私…
「着替えよう」
元気になったらきちんとしたパジャマ買おう、胸元が見えるタンクトップとかじゃなく。うん、そうしよう。



熱が余計、上がった気がした。






タイトルは「酷白。」様よりお借りしました。

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