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特等席





珍しい事が起こるもんだ










特等席










目の前の席の白石が寝ている
いつも絶対に起きて授業を聞いている白石が
肘をついてこっそりではない

机に突っ伏して堂々と寝ている

具合が悪いのかはたまた本当に眠いのか…
真相はわからぬまま

担当の先生も気になっているが優等生の白石がこうも堂々と突っ伏している
何か事情があるのだろうとそっとしている

名前は何かあってはと一枚ノートの後ろを破り黒板の、そして自分のノートと同じものを破った紙に書いていく
なるべく丁寧に、人様が読める文字で

ひょっとして必要無くなるかもしれないがこれが無くてはノート提出に問題が出てくるだろう
とくにこの先生は厳しい


結局チャイムが鳴るまで白石は顔をあげずノートを開いた様子すらなかった





「白石ー?お前寝てんか」

「ん、ぁ…謙也」

「珍しなあ」

「…え、あれ」

「どないした?」

「うっわ…やらかした」

「…はっはーん。知らん間に寝てたんか」

「…せや、黒板!」





白石に近づいた謙也
謙也に起こされ目を覚ました白石は寝ぼけていたのか状況を理解できずにいたが
自分の頭の下にあった開かれていない教科書とノートを見て全てを悟ったらしい

そして取ってないノートを取ろうと急いで黒板に目を移すがすでに日直が消してしまっていた

落胆する白石
謙也にノートを見せろと言ったところでスピード勝負で書いている彼のノートはまあ字が読みづらい

ここでチャンスと思ったのがクラスメイトの女子たちだろう
もちろん名前も込みで

いの一番に話しかけようとしていた女子をしり目に白石は綺麗なフォームを描いて後ろ
つまりは名前の方を見た






「名前ちゃん、ノート見せてくれへん?」

「へっ、あ…コレどうぞ」

「!…俺んために書いててくれたん?」

「まあ…うん。ずっと寝てたし」

「おーきに」






どうして後ろを向いたのかは知らないし自分の事を名前ちゃんと呼んでいたのも知らない

けど周りのクラスメイトより頼りにされているのには正直かなりの優越感
そしてもしもの為のノートが役に立ってなによりだ


とりあえずノートを写すからと謙也を追いやった白石
去り際謙也ににやりと笑われた名前は視線を前に移すとまたも振り向いている白石と目が合った

今度は何だと首を傾げてみるとガタンと椅子をこちらに向ける白石
そして先ほどあげた紙とノート、筆記用具をもって名前の机を占領しだした

…何が起こっているのかさっぱり






「し、白石君?」

「聞いてへんかったから解説付きでよろしく」

「…はい?…え、無理無理!」

「頼むわーっ」

「…けど」

「ホンマお願い!」





両手を合わせて深くお願いをされては、流石に断れまい

じゃあ、と遠慮気味に言えばわざとらしく両手を握られありがとう、と礼の言葉

授業の内容を脳をフル回転させて思いだす
下手な事を白石に間違えて教えるわけにはいかない

ノートを書いていく、包帯に包まれた細く長い指を追いながら
何とかこの近い距離をやり遂げた

爽やかにありがとう、と前に向き戻った白石


顔が近すぎて何度沸騰しそうになったか
ノートに集中してくれているから見られていないだろうが
おそらく名前の顔は真っ赤であろう

周りからの恨み妬みの視線ばかりは、もうどうにでもなれと思う
そんなことより心臓の鼓動が速い

かっこよすぎる白石が悪い、とわけのわからない言い訳をして
視線を前へ向けると、前に戻ったはずの白石とまた目が合った






「これ、ありがとな」

「あ。ううん、お役に立ってなによりやわ」

「ココ、ちゃんと読んでな」






返されたノートの紙
せっかくなら持っていて欲しかったのにという名前だったが、まあいいと受け取る
そして一番下の方を指さされそう言われた

何の事かと目を移せば書いた覚えのない一行

『お礼に今日の放課後、どっか行かん?』






「!って…これ」

「そ。デートのお誘い」

「で、…と」

「俺、本気やねんで」

「!!」

「考えといてな」





近距離でウインクをぶっ飛ばされる
その破壊力たるや抜群で、断る理由など見るかるはずもない

即返事で快諾
白石はホッとしたような満面の笑み


きっかけは一枚のノートから
真面目な白石が起きていれば実現しなかったこのデート

偶然ではないはず

お互いの想いが重なった記念の日として
これからも大事な一日になりそうな

そんな今日の日












END















〜反省〜
さて、当サイト『∞mangrove∞』もとうとう4周年になりました!
おめでとうありがとう←

いやはや、一時は本当に更新停滞してましたね…
何とか持ちこたえましたよ。
まあ、持ちこたえてないのやもしれやせんがね←

まあ、月に4度更新があればいい方←
昔は3日に1回更新だったのにねぇ…
管理人も忙しくなったということですよえぇ。

というわけで今年の4周年記念小説はしらーしです。
こんなかんじのしらーしです。
なさそうでしょ。
白石が居眠りして一時間を無駄にするって。
無駄が嫌いな彼ですからね
そんなかんじです←

なにって、変わりませんよ←
更新率も更新するキャラも
精市様命な管理人も←
精市様の更新率の高いこのサイトも←
えぇ、何事もいつも通りがいちばーん。

こんなかんじの反省もこれからも続くでしょうな。


さて、本日は氷帝の日吉若君のお誕生日でもありました!
おめでとうございます☆


名前様
ここまで読んでいただき、ありがとうございました♪


2012/12/05(WED)




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