恐怖
ひぃ〜
瀬川さんが黙って何も言わなくなった
もしかして怒った？
そうだよね、怒るに決まってる
瀬川さんみたいな男前な人は
俺みたいなうじうじした男嫌いそうだし…
あぁ〜もう嫌だ〜
今度こそ殴られよぉ(泣
でも今さっきは
ものすごい優しい笑顔で
『春輝、ごめんな』
って言われたからびっくりした
だ、だってあの瀬川さんだよ？
人に謝ることなんてないと思ってた…
だって恐い噂ばっかり聞くから…
だけど、あの笑顔は反則だよ
ものすっごい優しい笑顔だった
素直に格好良いって思ったじゃん
しかも、俺のこと殴らないって言ってくれた
本来の自分だったら一番に安心しただろう
でも今は、安心するよりも嬉しいと思っている自分がいる
何故か解らないけど凄く嬉しい。
今までパシリ以下だと思われてると思っていたから
殴られる対象じゃない俺は、瀬川さんと友達になれるかも！って思い始めてる。
てか、まだ瀬川さんに抱きしめられたままだし
ちょっと恥ずかしいな
だから瀬川さんから離れようとしたら
「………おい」
「えっ…あっはい」
ドスのきいた低い声だったから本当にびびった
そのせいでまた情けない声が出てしまった
もう俺、本気で泣ける…うぅ
ちょっと涙目になってるかも
絶対に引かれるだろうな
って思っていたら
「春樹が俺を恐がらないと約束するなら離してやってもいい」
「えっ！？」
「その反応気にくわねぇ」
「いや、その違うんです！」
本当に！？
俺にチャンスをくれるの？
そうだったら嬉しいな
それってさ
俺、瀬川さんと友達になれる可能性はあるってことでしょ！？
これから一緒に暮らすわけだし
仲良くなりたい……かも
だから思いきって告白してみよう
友達になりたい！って
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