プルト小説
夫婦喧嘩その1(ガラハド+デュラン+ハーディス+エリス)
ガラハド「……やっぱそうそう会えるわけないか…。」
ガラハドは小さな可愛らしい花束を持ち、大木に背を預けてため息をついた。
前にここでガラハドは1人の女性に一目惚れをし、あろうことかその女性にいきなりデートに誘うもビンタをお見舞いされたのである。
ガラハド「せめて名前聞けばよかった。なんでそんな段取りすっとばしてデートに誘っちまったかなー俺は!」
もうちょっと紳士的な振る舞いとかあったはずなのに。
あのゾクリとする眼、
不敵に笑う薄くて形の良い唇、
そして忘れもしない頬に走った、あの手首のスナップのきいたビンタ…
ガラハド「いや、お祖父様にも会えたんだからまたあの麗しい女性にも会えるはずだ。会えたらまずはいきなりデートに誘った謝罪だな、それから…自己紹介と、そんで次は告白……ん?誰か来たな。」
ズカズカズカ!
デュラン「落ち着いて下さいよ、お父さんは前からあぁなんですから。」
エリス「えぇ私は落ち着いてるわよ?それに言われなくてもハーディスのバカさ加減は昔っからわかってるし!?」イライライラ
ガラハド「Σ!!」
(いたー!麗しの君ー!!///しかしあの後ろからついてきている男は誰だ!?なにかモメているし両者とも早足だし、あの男は麗しの君に言い寄っている不埒な輩かもしれない!)
ガラハドは自分を棚にあげてはエリスとデュランのもとへ走り出した。
デュラン「とにかく待って下さいって!どこに向かってるんですかお母さん!;」
エリス「どこでもいいでしょ!?」キッ!
デュラン「あぁ…本当にごめんなさいお母さん。」
エリス「なんであんたが謝るのよ。あんたはあのバカと私を舟デートさせようとしただけでしょ。」
デュラン「結果的にお母さんをこんな目に合わせてしまったんだ、お父さんも大概空気ぶち壊しましたが僕の責任でもあります。それにルーファウス君もどうやら僕と同じ事をお父さんに頼んでいたみたいで…。」
エリス「それよ!でもあのバカはそれでも最初私を舟デートに誘ったのに……急に熱心な顔してウェダに詰め寄って…。」
(なんなの?あれは私に対する当て付けのつもりとか?あのハーディスが?そもそも空気読めってーのよバカ!バカハーディス!)
デュラン「きっと何か理由があるに違いありませんよ!」
エリス「ハーディスに限ってあるのかしら…」
デュラン「そ、それは否定はできませんが、でもあの時急にお父さんは『そういえば』と何かを思い出しっ…!?」
ダダダダダダ
ガッ!
ガラハド「この不埒者!麗しの君から離れろ!さもなくば成敗してくれる!」
デュラン「腕痛っ!なんなんですか貴方は!;どちらが不埒者ですか!」
エリス「!!あんたはあの時いきなりデートに誘ってきた…」
ガラハド「おぉ!覚えててくださったか!嬉しいなぁ!♪」
エリス「デュラン、振りほどけないの?」
デュラン「悔しいですが無理です…!」グギギ…
エリス「ふぅ。ちょっとあなた、その子を離しなさい。私の息子なの。」
ガラハド「わかった!息子さんだったか…これは失礼した。」パッ!
(息子…!あー、そりゃやっぱり生前は結婚して子もいるよなぁ…)
デュラン「全く…。母さんを『麗しの君』とか呼んでいたけど誰なんですか…。」
エリス「初対面なのにいきなり私をデートに誘った軟派の『不埒者』よね?」
ガラハド「うっ…!いや、そう言われても仕方がないか。あ、あの!また貴女に会える時を心待ちにしてたんだ!///」
エリス「フン、デートなら前にも言ったけどお断りよ。」
ガラハド「否!今回はデートのお誘いじゃなく、その…!///」ドキドキドキ
(あああああ!このツンとした媚びないこの態度たまらん!!さぁ言うんだ俺!『この間はいきなりデートに誘ってすいませんでした』と!そして自己紹介と花束渡して告白を…!!)
エリス「なんなのよ。今は機嫌が悪いの。」
バッ!!
ガラハドはエリスに花束を向けた。
エリス&デュラン「!?」
ガラハド「いきなりすいません!結婚して下さい!!///」ドーン!
エリス「………。」
デュラン「………。」
ガラハド「Σハッ!段取りをまたすっとばしてしまった!」
(やばいやばいやばい!)
ガラハドはエリスを見るとエリスはうつ向いて両肩を震わしている。
ガラハド「あ、あの!ご怒りはごもっとも…だ…よな…」
(俺、もしかしなくとも終わったな…)
エリス「フッ…、フフっ!もうダメ…!あははははは!」
デュラン「お母さん!?…あ!」
ガラハド「あぁっ!」
エリスに差し向けていたガラハドの花束の花は全部散っており、地面にハラハラと落ちていた。
ガラハド「なんてこった、グレイ(弟)にせっかく作ってもらったのに…」
エリス「あ、あんなに乱暴に振ったりとか扱うからよ…!ふっ、くく…!」ブルブル
ガラハド「あ、はは…はははは。」
(えーと、ひとまず怒ってない?セーフ?)
エリス「あーもうダメ、ツボった…!立ってらんない…!」
デュラン「お母さん笑い過ぎですよ;」ガシッ!
デュランはいまだに笑うエリスを抱き締めて支えた。
ガラハド「Σあぁっ!抱き締めるとか羨ましい!」
デュラン「何言ってるんですか。」
エリス「はー…はー…、も、もう…!なんなのあなた…!今度はプロポーズとか…」
ガラハド「あ、あの…本当はちゃんと段取りを考えてたんだ!だけど気付けばもうプロポーズ言ってたみたいな…うぅ、出直してきます…」シュン…
エリス「ちょっ、待ちなさい。これだけ笑わせといて名前すら言わないで去るなんて卑怯よ。」
ガラハド「あぁそうだった!俺はガラハド!麗しの君のお名前も是非とも知りたい!」
エリス「ガラハドね、私はエリスよ。で、この子はデュラン。」
デュラン「どうもよろしく。」
(なんだろう、どことなくお父さんっぽいような)
ガラハド「よろしく!それにしてもエリスか…お名前まで麗しい…。」
ガラハドは跪き、エリスの片手にキスをした。
デュラン「Σなっ!?///」
エリス「…………。」
ガラハド「この間はいきなりデートに誘って申し訳ない。あまりにも貴女がお美しかったので、つい…」
エリス「…あ、そう…。」プイッ!
ガラハド「顔が赤い…照れてるのか!なんて愛らしいんだああぁ!!///」
エリス「照れてなんか…!///」
ガラハドはエリスを抱き締めた。
エリス「きゃああぁ!?」
デュラン「っ!ガラハドさんいい加減にしないと…!」
ザッ!
ハーディス「おい!なにしてるんだそこのお前!!エリスに離れ……ガラハド!?」
デュラン「お父さん!」
ガラハド「あぁ、お祖父様。」
エリス「ハーディス…!え?お祖父様って?」
・
・
・
ハーディス「オレとウェダの子のルーファウスの子がガラハド、だからオレの孫だ。」
エリス「あら、そうなの。」
ガラハド「お祖父様の妻がまさかエリスだなんて…!」
(正直むかつく…)
デュラン「………。」
(というか、お父さんが来てからお母さんの機嫌がまた悪くなってる…)
ハーディス「それで、気持ちはわかるがオレのエリスに抱きついたりプロポーズとか…知らなかったとはいえ何してんだよ。」
ガラハド「うう…つい。」
エリス「可笑しいわ、なにが『オレのエリス』かしらね?」
ハーディス「へ?エリス?」
デュラン「ガラハド君、僕らは席を外そう。」
(お母さんの目が全然笑っていない)
ガラハド「えっ?」
デュラン「わけは後で話すから。ほら行きますよ。」
エリス「デュラン。」
エリスはデュランに席を外す事に感謝の意を込めて微笑んだ。
デュランも頷く。
デュラン「はい、ではごゆっくり。ほらガラハド君…あぁ、引きずるか。」
ガラハド「麗しい…///」ポー
ズルズルズル…
エリス「………。」
(行ったわね。デュラン、ありがとう。さて…)
ハーディス「エリ…」
パシンッ!
ハーディス「ええぇなんで!?いたいじゃないか!」
エリス「随分早かったじゃない。舟デート。まさか途中でウェダをほっぽりだして来たんじゃないでしょうね。」ギロッ!
ハーディス「舟デート?違う、デートじゃない。」ブンブン
エリス「あんたからしたらそうかもしれないけど。」
ハーディス「それに、ウェダとの話し合いが終わってからエリスのとこへ向かったら、急にエリスの悲鳴が聞こえて…オレは…」
エリス「フン、おあいにく様、自分の身は自分で守れるし守るわ。」
ハーディス「エリス、それはガラハドに抱き締められた時点で守れてないぞ。悪いが、エリスとデュランがガラハドに2対1でかかってもガラハドのが強いだろう。」
(またビンタ飛びそうだな。でもこれだけは言っておかないと!)
エリス「全く、聞きたくない事をズバズバ言うわね…。…そんなの、私も気付かない程バカじゃないわよ。」
ハーディス「えぇー…。エリスってほんと意地っぱりだよな。あんまりあっちこっち出歩くなよ。」
エリス「ハーディスに言われたくないけど。」
ハーディス「またガラハドみたいな男が寄りつく。そんなのオレが許さない。」
エリス「珍しいわね、あんたが束縛なんて。どうしたの。」
ハーディス「どうしたもこうしたもあるかよ、ちょっと目ぇ離したら他の男に抱き締められてんだもんな。」
エリス「ふふ、他の男ってガラハドはあんたの孫じゃないの。しかもあんたの愛するウェダとのね。」
ハーディス「エ、エリス?」
(なんだかトゲトゲしい…)
ハーディスはエリスに近寄った。
エリスは後ずさる事も離れる事もしない。
ハーディスは手をエリスの方に伸ばす。
エリス「触らないで。」
ハーディス「いやだ。触りたいから触る。」
ハーディスはそのままエリスの手を握る。
エリスは握られたハーディスの手を見つめ、振りほどく素振りもしなかった。
エリス「この野郎…」ボソッ
ハーディス「エリスはそんな言葉使っちゃだめだ。なんでそんなに機嫌悪いんだよ。イジけるぞ。」
エリス「勝手にイジければいいじゃない。」プイッ!
ハーディス「そうだな、エリスだけイジけさせてオレだけイジけないわけにもいかないよな。」
エリス「………バカ。」
ハーディス「うん。」
エリス「…あと、私はイジけてなんかない。」
ハーディス「じゃあこっち向けよなー。ぜーったいイジけてる!………!?」
(え、もしかしてエリス泣いてる!?;)
エリス「………目にゴミ入ったわ。」
エリスはハーディスの握られた手を振り払い、急いで背を向けた。
ハーディス「…………。」オロオロ
(いかん、全然なにもわからないままエリスを泣かせてしまった…。もう何を言ってもダメな気がする。どうしようどうしようどうしようどうしよう……あ!)
リディア『ははは!パパったらまたママを怒らせたのね!ウケるー!』ゲラゲラ
ハーディス『いやー、エリスが私は怒ってるのよ!って言ったからなんで怒ってるんだ?って聞いたら更に激怒しちゃって。ついに家から出ていっちまった。』
リディア『パパ、そんな時は大体ごめんとかさっさと言っておけばオールオッケーなのよ!☆』
デュラン『なんておおざっぱなんだ…。』
リディア『えーだって怒ってる理由聞いても言わないし、こっちもわからないしー!だし?もうヘタにアレコレ言って激怒させるよりもごめんの一言でいーのよ!』
ハーディス「………。」
(よ、よーし!この作戦でいくか!)
ハーディスはエリスを後ろから抱き締める。
ハーディス「エリス、ごめん。オレが悪かった。」
(うん、もうエリス泣かしてしまったオレが完璧に悪い。)
エリス「………!」グスッ!
ハーディス「オレはバカだから、いつもそれでエリスを怒らせてるな。」ギュウッ
エリス「…ヒック…、ウェダ、と、舟で何を、話し合ったの…?」
ハーディス「え?それは…」
(な、涙声…!やばいオレもマジに泣きそう。ていうかオレとウェダとの会話が気になってたのか?)
エリス「やっぱり今の、聞かなかった事にして。私…こんなに…、こんな嫉妬に、…ヒック、ま、まみれて醜いわ私…!嫌…!!」
ハーディス「エリスは醜くない!それに…え!?嫉妬!?」
(してたというのか!!?)
後にハーディスは語る。
あの時はどんな強敵の放った『召下雷撃』よりも強烈な電気が身体中に走った、と…。
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エリスも泣くときゃ泣くんだな(´ω`)笑
ちなみに私は『トイ・ストーリー』の2と3ですぐ泣く。ボロ泣きだぜ。
え?聞いてないって?
わりわり(笑)
ガラハドは行動的な性格なので一応頭の中で段取りとか色々考えてはいるが体と口が先に動く為に失敗が多々あり、あとでよく後悔する。
ハーディスは相変わらず察しが悪いしエリスはエリスで意地っ張り。
ハーディス並に素直過ぎるのもアレやけどエリスも同じく困ったやっちゃ(笑)
でもなんだかんだで相思相愛なのな(´ω`)
2013/4/13
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