プルト小説
父がなにやら舟を作っているようです【後編】(ハーディス+セシル他)
【前回のあらすじ】
舟を作っているハーディスを見かけたハーディスの息子・デュランとルーファウス。
デュランとルーファウスは父親は同じハーディスだが母親はそれぞれ違う為、なにかとフラフラしている父親が2人乗りの舟を作っているのを見て、自分の母と父のロマンチックな舟デートを思い浮かべるのであった。
舟だけに。
(失せろ)
━━━━━━━━━━━━
コンッコンコンッ!
ハーディスはトンカチを使い、もうじき出来上がる舟に笑みをこぼす。
ガラハド「…ん?まさか父さん?」
ハーディス「―え?」
ガラハド「あ、失礼した!父さんじゃないな、激似だったもんで…」
(父さんと違って雰囲気がなんだか緩いな。でも直感でわかる、この魔力の力強さ…!)
ハーディス「オレと激似?うーん、ルーファウスと間違えたとか?」
ガラハド「! 父をご存知か!」
ハーディス「お、ルーファウスの息子か。……ということはオレの孫!」
ガラハド「お、お祖父様!?」
ハーディス「『じいちゃん』でいいって、堅苦しいしさ。ははは。」
ガラハド「いーえ!そんなご先祖様に滅相もない!俺はガラハドという名でございます!」
ハーディス「実の祖父なのに…ま、いいか。」
ガラハド「今度一度手合わせしてほしいところ!…それでお祖父様、舟を作っているのか?」
ハーディス「あぁ、うん。ちょっと出来に不安なとこがあるけどな。」
ガラハド「2人乗りの舟…。麗しい女性と向かい合ってデートとかいいな…、よし、俺も今度舟を作ろう!うんうん。」
ガラハドは1人頷く。
ハーディス「ん?デート?」
ガラハド「少し前に気高く、そしてとても麗しい女性を見たんだ!生前じゃあんな美女いなかったから…ついついいきなりデートに誘ったら手首のスナップがきいた素晴らしいビンタをくらって…、あぁ、お名前を聞けばよかった!」
ハーディス「はははは!ガラハドやるなぁ。それにビンタとかまるでエリスみたいだ。」
ガラハド「あ、いかんいかん、お祖父様のジャマだったな俺。じゃあまた会いましょうねお祖父様!」
ハーディス「おう。またな〜。」
ハーディスはガラハドに手を振った。
手合わせ、ガラハドが発したその言葉に胸が高鳴る。
ハーディス「おっと、さっさと舟を完成させないとな!早くこの舟で悠々と魚釣りしたいし。いっぱい魚を釣ったら皆びっくりするだろうな〜。」
ハーディスはなんと自分の魚釣りの為に舟を作っていたのであった。
そして……
ハーディス「出来た!うん、さっそく浮かべてみるかな。沈むなよ〜……」ドキドキ
セシル「あ、ハーディスさん。」
ハーディス「お、セシルか。」
※セシルは作者のプルト仲間・ユキさんちの子であり、生前はハーディスと同じくウェダの旦那さんでもあった。
セシル「舟を作ったんですか!へぇ、素晴らしいな…、手伝いましょうか?」
ハーディス「あぁ、じゃあこの舟が沈んできたら一緒に持ち上げてくれないか?」
セシル「もちろん。」
ハーディスは完成した木造の舟を近くの湖に浮かべる。
ハーディス「…………。」
セシル「………。」
ハーディス「よかった、沈まないし水も溢れてない。」ホッ
セシル「えぇ、良かったですね!」ニコッ!
ハーディス「乗ってみるか。セシルも乗らないか?男2人乗っても大丈夫なら魚や釣り道具たくさん置いても安心だし。」
セシル「えぇ、いいですよ。」
ハーディス「あ、沈んで溺れたら助けてやるからな。」
セシル「あはは、こんなに立派な舟でまさか。でも僕が溺れたら全力で助けて下さいね!」
ハーディス「うん。」コクリ
(今一瞬セシルの眼がマジになったな)
そしてハーディスとセシルは舟に向かい合って乗った。
セシル「あ、大丈夫そうですよ!」
ハーディス「よかったよかった!このまま漕ぐか。ちょっと付き合えセシル。ほっ!」バッシャバッシャ!
ハーディスはセシルの返事を待たずに力強く舟を漕ぎだした。
セシル「ハーディスさんってちょっと強引ですね。」
ハーディス「そうか?」バッシャバッシャ!
セシル「ちょ、速いですって。えぇ、羨ましいですよ。僕もそれくらい積極的になりたいです。それに…」
(生前の時のプロポーズ、ウェダからだったしなぁ…。ウェダは気にしなかったけれど、あの時バシッ!っと男らしくウェダにプロポーズ言えてたら…)
ハーディス「ん?それに?…んあ…っ」ムズッ
セシル「ウェダも僕なんかよりそんなハーディスさんの方が…」
ハーディス「ックチュンっ!!っあー…わり、さっきのなんだって?」グシュグシュ
セシル「…イエ、ナニモ。」
(意外にも女の子みたいなクシャミしたな…。)
ハーディス「お、魚影発見!釣るぞ!」ヒュンッ!ポチャッ!
セシル「そしていきなり眼を輝かせて魚釣りですかい。」
(こ、この人の行動が掴めない…)
ハーディス「セシルも釣れよ!ほら釣竿!」ズイッ!
セシル「いえ、あの僕は…」
(そもそもバハウルグだったし釣りって;)
ハーディス「いやか?じゃあしばらく待ってろ、オレは釣りしてるから。」
セシル「あれ?もしや僕帰らせてくれない?;あ、あのハーディスさん、帰…」
バシャッ!
ハーディス「やった!釣れた!♪見ろセシル、あとで塩焼きにして食おうぜ!♪」ニコニコニコ
セシル「………僕も釣ろうかな。」
(なんて眩しい笑顔だ…)
ハーディス「! そうか!♪」ニコニコ
セシル「はい。」
(試合や大会の時とは別人って聞いてはいたけどどうなんだろう?)
―1時間後―
ハーディス「いや〜釣れた釣れた!セシル、初めてなのに釣り上手だな!」
セシル「いえいえ、そんな…」
ハーディス「はは、謙虚だな!…よっと!」
ハーディスは先に舟から降りた。
ハーディス「ほら」スッ
セシル「あ、どうも」
ハーディスに差しのべられた手を掴み、続いてセシルも舟から降りようとする。
タタタタタッ!
ルーファウス「おーい父さーん、そろそろ舟………!?」
タタタタタッ!
デュラン「お父さん、もう舟は完成しまし………!?」
ハーディス「おう!バッチリだ!これでいつでも魚釣りが…」
ルーファウス「は!?」
(魚釣り?あ、あれ?あそこにいるのはデュランさん?いやそれよりも父さんと手を繋いでいる男性は一体?)
デュラン「え!?」
(魚釣り?ん!?なんでルーファウス君が?いやそれよりも…あの方はまさかセシルさん?)
ハーディス「? どうしたんだ?」
セシル「うわっ!?」グラッ!
ハーディス「おっと、大丈夫か?」ガシッ!
セシル「すっすいません!///;」
(どんくさいって思われたかな?;)
ハーディス「いいって、足場グラグラしてるしな。おいデュラン、ルーファウス、お前らも魚食ってくだろ?」
デュラン「いや、お父さん…。すいません、ちょっとお父さん借ります。」グイッ
ハーディス「え?え?」
デュランはハーディスの腕を掴み、セシルとルーファウスから離れる。
デュラン「何してんですか。」
ハーディス「何してって…セシルと魚釣り。結構釣れたんだぞ、すごいだろ!♪」
デュラン「はいはいすごいですね。それよりお母さんとの舟デートはどうしたんです?」
ハーディス「え?エリスと舟デート?なにそれ?」
デュラン「えっ」
ハーディス「えっ」
デュラン「………お父さん、なんの為に舟を?」
ハーディス「え?魚釣りの為…」
パシンッ!
ハーディス「いたい!前のビンタよりいたい!」
デュラン「はぁ…。まぁ、僕の早とちりだったとはいえ、魚釣りとか。それにセシルさんまで巻き込んで…。後で迷惑かけた事を謝らないと…」
(お父さんの事だ、色々強引にさせたに違いない…。)
ハーディス「え?セシルが迷惑?オレは迷惑かけてないぞ?」
デュラン「二発目くらいますか?」
ハーディス「やだ」
一方その頃…
ルーファウス「セシルさん、オレの父がご迷惑を…」
セシル「いえいえ、迷惑だなんてとんでもない!」
(そういえば、ハーディスさんとウェダの子どもなんだっけな、ルーファウスさんは。)
ルーファウス「あ、戻ってきましたよ。」
ハーディス「さーて、魚焼くか!」
デュラン「全く、お父さんは…。さっきも言いましたが後でお母さんを舟デートに誘う事!いいですね?」
ルーファウス「えっ!?」ドキッ!
ハーディス「エリスと舟デートな〜…。エリス退屈するんじゃないか?」
デュラン「優雅に景色を楽しみながら舟デートですよ?退屈なわけがない。それにお母さんも絶対喜びます。」
ルーファウス「ちょっと待った!父さん、母さんと舟でじっくり話し合うのはどうなったの?」
ハーディス「え?」
ルーファウス「え…、まさかもう忘れたのか?;」
ハーディス「いや…、ウェダと舟でじっくり話し合うってなんだ?聞いてないぞ?」
ルーファウス「父さんでもわかりやすいように遠回しに言ったじゃないかああああああぁ!;」
デュラン「ルーファウス君!お父さんに遠回しは通じないぞ!」
ルーファウス「父さんがここまでとは…」ガクッ!
セシル「あのー、魚焼けましたよ。」
ハーディス「熱っ!うまっ!」ガツガツ
セシル「ほらハーディスさん、落ち着いて食べて。あぁ口まわりについてますよ。」
ハーディス「んむ?わるいなセシル。どうしたデュランとルーファウス、食べないのか?それになんで2人ともそんな怖い顔してるんだ?」ガツガツムシャムシャ
デュラン「お父さん、この際ハッキリしてもらいましょうか。舟デートするならお母さんとウェダさん、どちらにしますか?」
ハーディス「ははは!なんだ急に!」
ルーファウス「いやそんな明るく笑わなくても;」
ハーディス「んーそうだな〜、どっちとかじゃなく、オレと舟デートしたい方だな!」
デュラン「うわ、そうきたか…」
ルーファウス「じ、じゃあどっちもしたいって言ったらどうするんだよ!;」
ハーディス「え?なら3人でするしかないだろ?さすがにオレでもそのくらいはわかるぞ!」
ルーファウス「Σなにもわかっちゃいねぇ!」
セシル「すごい発言だな…」
デュラン「こらえろ僕…、平常心平常心…。お父さん、3人デートとか破滅しかありません、どこのときメモGS3ですか。そもそもデートですよデート!友達と遊ぶんじゃないんですから!なのでどちらか1人選んで下さい。」
ハーディス「え、じゃあ…」
ザッ!
エリス「あら、あんたたち魚焼いてんの?」
ウェダ「美味しそうですね。」
デュラン「なんて」
ルーファウス「タイムリーな」
ハーディス「丁度いいところに!セシルと一緒に魚釣ったんだ、エリスもウェダも食べていけよ。ほらほら。」
エリス「塩焼きか、いいわね。」
ウェダ「いいんですか?じゃあお言葉に甘えて♪」
ルーファウス「父さん!そっちの丁度いいじゃなく…ゴホンッ!」
ハーディス「あぁそうだったな。なぁエリス、オレと舟デートしないか?」アッサリ
デュラン「ッ!」
(やった!)
ルーファウス「!?」
(そ…そんな…!)
セシル「!」
(良かった、ハーディスさん相手にウェダと取り合う事がなくて…。)
ウェダ「!?」
(ハーディス…!?いや、取り乱しちゃだめよ、セシルもいるし…。)
エリス「…はぁ?アンタいきなり何言ってんの?」
(このバカ!なんでウェダやセシルさん、ルーファウス君の前で言うわけ!?舟デートしたいって言いづらいじゃないの!)
ハーディス「あ、やっぱりイヤか…?」シュン…
エリス「Σや、やっぱりって何よ!別に私イヤとか言ってないじゃ…」
ハーディス「あ、そういえば!」ハッ!
ルーファウス『とにかく、一度父さんと母さんは今度2人っきりで話し合ってほしい。舟が完成してからね。』
ハーディス「そうだった、舟も完成したし、エリスよりウェダだな!」ドーン
全員「「Σ!?」」
ハーディス「ウェダ、ちょっと話があるんだ。舟に乗ってくれないか?」キリッ!
ウェダ「え?い、いきなり…!?;」オロオロ
ウェダは困った顔でセシルやエリスの顔を見る。
エリス「ちょっと!ウェダが困ってるじゃない!」
セシル「そうですよ!」
ハーディス「オレは今ウェダと舟で話し合いたいんだ。ウェダはどうしたい?」キリッ!
ウェダ「……っ!///」
(だ、だめよ!セシルやエリスさんの前で…!)
ハーディス「ウェダ、頼む。本心を聞かせてくれ。」キリイィッ!
(ルーファウスのせっかくの頼みだし)
ウェダ「わ、私…、わかったわ…!」
ハーディス「良かった!」
こうして、ハーディスと赤面したウェダは舟に乗ってどこぞへと行きましたとさ。
━━━━━━━━━━━━ハーディスがあほすぎて長くなった。
もうハーディスはセシル君とくっつけばいいんじゃないかな?^^
(おいw)
オロオロとか擬音が多いですが描写をいちいち書いてたらキリがないしめんどいのでそのへんご了承下さい。
ハーディスのキメ顔にウェダはノックアウトされたでござる。
ルーファウス君とりあえず願いが叶ってよかったね。
ま、犠牲はつきものってー事で(^-^)
ここまで読んで下さりありがとうございましたm(__)m
なお、セシル君はプルト仲間のユキさんのサイト
【フーコー温泉へいこう】
にてセシル君のキャラパスがあります♪
リンクからドゾ(^-^)/♪
2013/4/11
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