●白いと青い
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「うわぁ....たんこぶ」
保健室に向かう途中、踊り場の鏡の前で立ち止まる。
前髪をかきあげて覗けば、額に浮かぶたんこぶ。
残ったら嫌だな...なんて考えながら前髪を垂らし、視線を戻すと、背後――鏡に映った。に見知らぬ男子生徒が。
びっくりして振り返る。
相手は、俺を確認するとニコリと笑って、
「キミ、天音君だろ?」
「そう...ですけど何か?」
見知らぬ相手が自分の事を知っている。
俺は警戒し、不審に思いつつ返事を返す。
「こんなところで会えるとは思わなかったな。手間が省けた」
意味深な台詞を呟いたかと思うと、いきなり俺の腕を掴んで引っ張ってゆく。
「ちょっ、何すんですか?!放して下さいっ!!」
恐怖を感じて、叫ぶ。
相手の力には敵わないから、せめてもの抵抗。
しかし、俺の抵抗も虚しく、口を塞がれてしまう。
何処かの空き教室に着くや否や、中に押し込まれ、勢い余って躓いた。
「っ....」
痛みに耐え視線をあげると、男の他に数人おり、嫌な微笑で俺を見下ろす。
なんでこう、俺ばかりが嫌な目に会うのかねぇ....
自分の運の悪さに嫌気をさしながら、ゆっくり立ち上がる。
「何か用ですか?」
わざと澄ました態度で問う。
「いや、俺らは無いんだけどさ、頼まれちゃって」
頼まれと云う言葉に、怪訝な表情を送れば、
「あんたを、すこ〜し痛めつける様にね。可哀想だけど、恨むなら生徒会の帝王に夢中なアイツを恨みなよ?」
生徒会の帝王とは、多分あの嫌みな生徒会長:神水龍仁カミナタツミだろう。そして、そいつに夢中な奴と云えば、前にもちょっかい出してきた親衛隊の子だ。
結構、可愛い感じの子だったから、こいつらは気が有るのかもしれない。
俺が前の男に気を取られている内に、背後に居た男が、俺の身体を押さえ込む。
そのまま倒されたかと思うと、無遠慮に制服を引きちぎられた。
「っ、ちょっと...!」
無惨に飛び散るボタン。
何すんだこいつら!つけ直すの大変なんだぞっ!!.............って、違う。
どうする?マジで今回はヤバいかもっ!
「大人しくしろって、」
誰が大人しく出来るかぁーっ!!
俺は力の限り暴れる。
無理矢理やられるぐらいなら、殴られた方がマシだ。
「放せっ!触んなっ!!」
体格の差は否めない。
男は、俺の腕を頭の上に一固めにして、空いた手で肌を撫で上げた。
「っ....!!」
冷たい手の感触に、思わず身体が震えた。
男はそれに気を良くしたのか、ニタリと微笑を漏らした。
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