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●白いと青い



『あ、ついでに花壇なら此処にあるの使っていいわよ?』

「え?美術室に花壇があるんですか?」


翁川先生の差す方を見れば、荒れた花壇が目についた。

ここの美術室は一階にあり、小さな庭へと出る事が出来る。


『驚いたでしょ?花壇なんて名ばかり。長い間使って無かったからねー』


ふぅ、と溜め息をついて苦笑する翁川先生を後目に俺は荒れた花壇を見下ろした。

確かに荒れてはいるが、普通より広いそれは手入れさえすれば、先程貰った種を全て埋められるだろう。


「大丈夫ですよ!俺、今から少し手入れしても大丈夫ですか?」

『え?今から?』


俺の問い掛けに対して、翁川先生のすっとんきょうな返事が帰ってきた。


『まぁ、良いけど。』


先生からお許しを貰って、早速庭に降り立つ。










まずは、草むしりからだな!


花壇の前に座り込み、雑草を取り除く。
久々の草や土の匂い、感触に嬉しさが込み上げる。





ついつい草むしりに夢中になりすぎて、いつの間にか居なくなってた翁川先生には気付かなかった。













一人、黙々と作業する中、不意に頭上に陰が射した。








『何してるの?』





作業の手を止めて顔を上げると、そこには...









「千明....先輩」



腰を少し屈めて、不思議そうに此方を見ている千明先輩が居た。

久しぶりに会った先輩は、相変わらずの美人さんでした。


「久しぶりだね?純白」

「はい。お久しぶりです。」


ニコリと微笑む千明先輩に、俺も笑顔で挨拶を交わす。


「で、何してるの?」

「あ、今花壇の手入れしてるんです。ここ長い間使われ無かったみたいで、雑草とか生えちゃって、」


俺が説明すると、先輩は更に不思議そうな顔で首を傾げた。


「それは分かったけど、どうして、そんな事を純白(マシロ)がしてるの?」


え?どうしてと、言われても...





「ここ、美術室の庭でしょ?」

「そうですけど、種貰ったんです。だから植えようかと思って」


そう言って、千明先輩の前に種入りの袋を翳した。





先輩はそれを手に取り、まじまじと見詰めている。


「何も純白がやらなくても。....手、汚れるよ?」


千明先輩の言葉に一瞬、疑問が浮かんだ。

花壇を手入れしているのだから、手が汚れるのは当たり前だ。
それに、


「良いんです、俺が勝手にやってる事ですから。....好きなんです」


千明先輩を見上げて言えば、ピクリと反応を示し、



「も一回言って?」

「え?」


そう突然、嬉しそうな表情で言われたが、俺は何が何だか分からない。

な、何か言ったっけ?
一人で焦っていると、



「ちゃんと目を見て言ってね」



また催促される。




「ぅ.....えと、俺が勝手にやってるだけだから....?」

「違う。その後、」


その後?えっと、えっと......
















「...好き、なんです?」



訳の分からぬまま、小首を傾げて言えば千明先輩は真っ直ぐに俺を見つめ返してきて、





「僕もVv」




なんて言って満足そうに微笑む。



え?なんだったんだ?



取り敢えず、千明先輩が満足そうなので良しとしよう。






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あきゅろす。
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