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●白いと青い
嫌味な奴



「紹介しなくて良い。千明、お前が珍しく気にしていたから見にきたものの時間の無駄だったな」



金髪生徒会長は千明先輩の方をみて、また俺に視線をもどす。
その視線が威嚇するような、嫌悪の眼差しで見られている様に思えて居心地が悪い。


何なんだよ?




「はぁ...やっぱり連れて来るんじゃなかったな」



相変わらず俺の頭を撫でながら、千明先輩がボソリと呟く。
その呟きすら耳に入ったのか、生徒会長は眉間にシワを寄せ、



「安心しろ、直ぐに立ち去るさ。俺だってこんな所に長居したくはない....大体、」



そう言って、チラリと俺に視線を寄越す。
...って、俺の所為ですか?

流石にムカついて、何か言い返そうと考えていたが、先に会話を遮ったのは千明先輩だった。



「止してよね。それ以上喋んないで....気分悪いよ?」



頬杖を付いて、相手を見ることなく冷たく言い捨てた。
驚いて、千明先輩を見やると見たこともない無表情。



「フン、事実を述べたまでだ。潔癖症のお前がこんな奴に入れ込むとは...理解出来んな」



金髪生徒会長、基:神水龍仁カミナタツミは、千明先輩の態度を微動だにせず言葉を紡ぐ。




まるで俺が汚ない者だからと言わんばかりのその言葉に苛つきを覚えた。


ガタン、とわざと勢いよく椅子から立ち上がる。
凛都も理解したのか、何も言わずに立ち上がった。




「ちっ、喧しい。静かに出来ないのか?」




神水龍仁は心底嫌そうな顔をして毒を吐く。




「すみませんでした生徒会長様。それよりも会長様が、こんな所でフラフラしてて良いんですか?俺や千明先輩に文句ぶつける暇が有るなら仕事をしては如何でしょうか?」




去り際に一発とばかりに満面の微笑で嫌味を言ってやった。

チラリと伺い見た会長の表情は怖いぐらいだが、俺は言われるまま引き下がる小者でもない。



「眼鏡、誰に口きいてやがる?」

「はい、何ですか?生徒会長様。それに俺は眼鏡では有りません。ちゃんと名前が...」

「テメェの名前なんざ興味ねぇ。お前は此処での生活の仕方が良く分かってないみたいだな」



言い合いを始めた俺達に、凛都は大きな溜め息を吐く。
千明先輩は黙って見つめている。

俺の目の前の嫌な奴――神水龍仁は不適な微笑を浮かべているから、さらに苛立たしい。



「何ですか?まさか自分がここの全て、絶対だとでも言うつもりですか?」



幾ら俺様だろうと、生徒会長だろうとそれはいき過ぎだ。
嘲り言えば、神水は口元を上げ、




「その通りだ」



堂々と言ってのけた。


どこの宮廷だよっ!!




振る舞いや言動から俺様な奴だとは思っていたが、此処までとは...



「はぁ...貴方は呆れた人ですね。生徒会長だからって何でも有りなんですか?理解出来ません、何もかも自分の思い通りにならないと気が済まないなんて駄々を捏ねる子供と同じでよ」



俺の言葉を鼻で笑い返す。こいつには厭味が通じないのか?



「生徒会役員に気に入られたからって調子に乗るなよ、唯の暇潰しなんだ。お前みたいな奴は期待するだけ無駄だ」



そう言って、嘲り冷めた目で俺を見下ろす。


こういう目は嫌いだ


会長の言葉に今まで黙っていた千明先輩が反応し、口を開くより早く俺は相手の腕を取った。




「あんたに何が分かるんだ。自分勝手で我が儘な奴に相手の気持ちなんて分かる訳ないだろ!先輩とアンタを一緒にするな!」



俺がムカついたのは自分の事よりも千明先輩を蔑んだ風に言われた事にあった。
だってそうだろ?少なくとも、こいつに取って千明先輩は友達で同じ仕事仲間だ。
なのに唯の暇潰し?遊びだって?


千明先輩は絶対にそんないい加減な人じゃない。


無意識に掴んだ手に力を込め、相手を睨み付けた。



「...手をはなせ」

「......」



「聞こえないか?その汚ない手を離せ」


どちらも譲らない状態にその場は一瞬で修羅場とかす。





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