[携帯モード] [URL送信]

●白いと青い



§


寝苦しい


何度か寝返りを打って、俺は目を覚ます。


水が欲しい


そう思いリビングに向かう。



時刻は2時を回っていた。






リビングに出た時、暗がりに人影を見つけた。
此処に居るのは、俺か眼鏡だ。



「ちっ...おい、何やってんだよ」



窓辺で布団にくるまり蹲るそいつに吐き捨てる様に言えば、ビクリと肩を震わせて、ゆっくりと振り向いた...





「っ!」



振り向いたそいつの顔を見て息を詰まらせた。

眼鏡は外していて、俺を見上げるその顔は憂いを帯び、瞳は潤んで虚ろげだ。
月明かりに照らされた、その表情は美しく、惹き付けてやまない。


確かに自分を見上げては居るが、その瞳には何も写ってはいない。

ざわり、と胸がざわめく。


こいつは本当に、あの生意気な眼鏡と同一人物なのか?それさえ疑いたくなる。

俺が唯茫然と見つめていると、虚ろな表情のまま手が伸ばされた。


まるで誰かを求める様な行為にも、俺は動く事が出来ずにいた。






「 」





唇が僅かに動いたかと思った瞬間、左右色の違う瞳の片方からポツリと涙が流れ落ちる。





無意識だった


気が付いたら、俺は目の前のそいつを抱き締めていた。


何故かそうしなければいけない気がした。
消えてしまいそうで、怖かった。

とても儚くて


抱き締める腕に力を込めた。



確かに聞こえた

あの時、呟いた言葉











助けて






酷く胸が痛んだ





[前へ][次へ]

5/18ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!