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●白いと青い




『寮に帰宅後は外出を控え、必ず一人にならない事。部活動も当分は休みとします』



そう言われ騒めく生徒を他所に、俺は何とも落ち着かなかった。
自分の身近で"何か"が起こっているのは分かっていた。保健委員の凛都が度々席を外すのも、きっとその所為だ。
心配性な凛都は俺が尋ねても「大丈夫、気にする事ないよ」と言って曖昧に済ませてしまう。
でも、俺は薄々感ずいてはいる。慌ただしい教師や、最近顔を見ない生徒会の人達、何より生徒の間で囁かれる噂、全て良くない"何か"によるものだ。



「純白、帰るぞ」



依然騒ぎたてる生徒に不快な視線を送りながら銀が目の前まで来た。俺は荷物を鞄に詰めながら憂鬱な気分に溜め息をついた。



「ねぇ、銀。凛都は?また一緒に帰れないの?」

「...あぁ、委員会の仕事だとよ」




教室を出て銀の後に続く。



「あ、待って銀!」

「?」



急に立ち止まった俺に、銀は首を傾げながら近寄る。俺は小さく笑むと、ある方角を指差した。



「ちょっと寄り道、黒に会いに行ってくる」

「は?...お前聞いてたか?人の話」



風紀委員室に行きたいと言えば、銀は眉をしかめて唸った。



「...だって、最近会ってないし、渡したいものもあるから」

「今はダメだ。最近は物騒なんだよ、何があるか分からねぇだろ」

「大丈夫!そんなに長居はしないから...そんなに言うなら銀は先に帰ってイイよ?」



俺がそう言えば銀は一瞬目を見開いた後、眉間に深いシワを刻み不機嫌な表情で俺の頬を引っ張った。



「....っ!い、いひゃい!!」

「ふざけんなよオメェ!!人の気もしらないでっ!」




「....ぅ、だって、」

「ちっ、もう勝手にしろっ!」


不機嫌なまま銀は俺に背を向けた。俺はヒリヒリと痛む頬を擦りながら銀の広い背に目をやる。
銀は不機嫌を表すように爪先を上下に動かす。
勝手にしろと言った割に動かない銀。俺はその逞しい腕に、自身の腕を回した。ともすれば、銀はビクリと反応し、もの凄い勢いで俺に顔を向ける。



「...っ!お、おま///何して!?」

「ごめんね?でも行きたいから一緒に行こう?」

「....っ////」




小首を傾げて、おまけに眉尻を少し下げて甘えてみる。何故か分かんないけど、こうしたら銀は負けてくれる。
視線を逸らした銀は顔を赤らめて、口許を手で押さえている。


ヤベッ!やり過ぎた?キモかったかな...?





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あきゅろす。
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