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だってそういうことでしょう
ひみつのおはなし(Y×H)※

佑真×春樹
受け同士じゃれあい/触り合いっこ/本番無し





「佑真さ、千里さんとどんな感じ?」


神妙な面持ちで言った春樹に、佑真はデザートのシュークリームを食べている手を止めて面食らう。

信也と直人は用事があるとかで今日は二人きり。
そのまま帰るのもなんだろう、と購買で甘い物を買って佑真の部屋で二人腰を下ろした矢先の出来事だった。

春樹からのこんな質問、滅多にない。


「・・・信也と、なんかあった?」


何かあったんだろうか。

俺が心配して聞くと春樹は耳まで真っ赤にして俯いてしまう。


分りやすい。
・・・これはなんかあったんだろうな。

信也とケンカでもしたのかな?


「なんでも言って!俺、めっちゃ答えるから!」


友達だもん。
何でも相談に乗るよ!

自信満々に胸を張って答えた俺への春樹の言葉は、予想外だった。



「千里さん、って変なことしてこない?」


「え、何の話?」


なぜ千里さんの話が出てくるんだ?
訳もわからず聞き返した佑真に、春樹は顔を赤くする。


「えと、その・・・エッチの時、とか」


「・・・へ!?」


吃りながら言った春樹の質問の意味を理解した途端。
つられて顔が熱くなった。

えっち。


エッチ?


普段セックスだのなんだの言われなれているくせに、友人、しかも同じ立場であろう彼に可愛らしい単語で言われると余計に露骨な気がするのは俺だけだろうか。
思わず赤くなって真っ直ぐに向けられる視線をそらすが、いつも堂々としているはずの彼は何やら深刻そうだ。


つまり、なんだ。


「変なこと、ってたとえば」


真っ赤になりながら春樹の疑問を疑問で返す。

変なコト。

思いあたるフシが多すぎて正直どれのことか分からない。
だって性の探求に余念がない千里さんがする事はいつだって変なコトだもん。


「最近、さ」


春樹はぼそぼそと語り始めた。


「なんか、アイツどんどんSっ気が増してる気がして」


小さな小さな声で、ぽそりと言った春樹はこっちに熱が伝わってきそうなくらいに真っ赤だ。
色素が薄い、俯く白い首筋は熱く染まっている。

佑真は目を丸くした。

正直意外だ。

だって、普段の感じからするとどう考えても主導権は春樹の方が握っていそうで・・・
しっかりしていて、頭がよくて生意気で、プライドだって高いはずの春樹を
だらしなくて馬鹿でお調子者の信也が好き勝手してるとこなんて全く想像がつかない。


「ぐ、具体的には?」


ごくりと唾液を飲み込んで春樹を覗きこむ。

春樹はぴくりとたじろいだ。


「あ、その・・・」


言いにくそうに目を泳がしている。


「・・・噛んだりとか」


噛む?


「・・・普通じゃない?」


俺は拍子抜けした。
だって、千里さんだって甘噛みくらいする。

なんならちょっとキモチイイ。


そんな俺に、春樹は黙ってぐっと襟元をずらした。


「へ、・・・・は!?」


首に近い肩についているのはくっきりついた、歯形が二つ。

・・・見るからに痛そう。


「ごめん。普通じゃないかも」


すぐに意見を翻した俺に、春樹はやっぱそうだよな、と大きなため息をつく。

千里さんはたぶんちょっとSで、だいぶ変態だ。
だけど俺を物理的に傷付けるようなことはしない。
それに、正直言って慣れてきた自分がいるのも事実だ。


「嫌、なの?」


「俺、Mじゃないし・・・」


春樹の答えは煮え切らない。


「・・・春樹が、嫌なら言った方がいいと思う。」


結局はソコだ。
・・・春樹はどう思ってるんだろうか。


「嫌ってゆーか・・・」


春樹は言葉を濁した。


「ってゆうか?」


「俺、流されて変わっていくのが、怖い」


俺、Mじゃないのに。
春樹はこれ以上ないってくらいに真っ赤になって、涙目になった目は合わせないままに呟いた。

普段高飛車な春樹がこんなになってるの、
ちょっとどきっとするくらいにカワイイ。

・・・苛めたくなる信也の気持ち。
ちょっと分かる、かも。


でも、春樹の気持ちもすっげー分かる。
俺だって千里さんに色々されて体が変わってる気がするし、なんか流されっぱなしだし。

そうだよ。
俺だってたまには千里さんに色々やってみたい。

でも、流されないなんて経験豊富な千里さん相手に、俺が出来るんだろうか。


・・・あ、そうだ。


「練習、してみる?」


「へ?」


遠慮がちに言った佑真の言葉に、春樹は呆気にとられている。


「流されないようにする練習?みたいな」





 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



「じゃあ、俺がめっちゃ誘惑してみるから春樹耐えて!」


何でこんな展開になっているんだろうか。

ずい、と春樹の横に佑真は陣取ると、目をらんらんと光らせながらそう言った。
好奇心旺盛な小学生みたいだ。
頭のすみでそんな事を思う。

いや、耐えるもなにも、
俺別にそんな性欲強いわけじゃないし。
・・・そもそもゲイでもないし。


だけど、佑真は真剣そうで。
やり方はどうあれ、俺のために友人が一肌脱ごうとしてるんだ。
止めるのも野暮か。


「春樹、ちゅー」


佑真は目を閉じて、タコみたいに唇を突き出した。

いや、カワイイっちゃカワイイんだけど。

これが誘惑のつもりなんだろうか?
なんだコレ。


佑真は俺の首に細い腕を回す。


「ゆーま、ちょっと」


そのまま顔を近付けようとする佑真の肩をおさえると、佑真は不服そうに俺を見た。


「ちゅーしないと誘惑出来ないんだけど」


あ、まだ始まってなかったの?


「いや、だから、俺ら友達だしさ」


「春樹は俺とちゅーするのイヤ?」


「・・・別に、イヤって訳じゃないけど」


「大丈夫!セックスしなきゃ浮気じゃないって千里さんが言ってた」


佑真は呆気にとられている俺の隙をついて、ちゅっと唇に軽く口付けた。

それから子供みたいな、悪戯っぽい顔で笑う。


「柔らかい」


ぺろりと下唇を舐める佑真に、ぼ、っと顔が熱くなる。

ああもう。




 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



「・・・は、っふ」


片方の手をつないだまま、佑真と俺は唇を合わせる。

流されない練習だったはずなのに、
佑真も俺も、すでに雰囲気に流されて、必死でお互いの唇を貪っていた。
信也の全てを食べ尽くそうとするみたいなキスとは違って、
お互いに慣れない、たどたどしいキスだったけれど。

・・・なんと言うか佑真の髪の毛のいい匂いと、繋いだ手がぴくぴく反応している所とか、律儀に目を閉じて眉を寄せている所とか、

友達なのに、変な感じ。


「っふぁ、春樹、」


「ゆーま、っ」


唇を離すと、とろんとした目で俺の名前を呼ぶ佑真はまるで女の子みたいに可愛くて、下半身に血が流れるのが分かってしまった。
ああ、コレは千里さんもたまんないだろうな

なんて。


「は、佑真、これヤバい・・・」


「俺もやばい、かも」


これ、まずい。
ホント止まんなくなりそう。

どくんどくんと心臓が鳴る。
信也に黙って、友達とこんな事をしている背徳感がすごくて欲を煽る。

不意に佑真の繋いでないほうの手が、俺の下半身に触れる

固くなったソコをズボンの上から撫でられるとびくりとしてしまった。


「・・・固くなってる」


上目遣いで報告する佑真に、春樹は思わず赤くなって目をそらした。


「し、仕方ないだろ!」


拗ねたみたいにそう言うと、佑真はふは、と笑って、繋いでいる方の手を佑真の下半身へ導く。

手の甲に当たったのは、

・・・・あ、固、


「大丈夫、俺もだから」


眉を八の字に下げ、困ったみたいに笑う佑真も顔が真っ赤だった。

どきどきしながら、遠慮がちに佑真のモノを、服の上からそっと撫でてみる。

佑真はぴくりと肩を揺らして身動ぎした。
信也とは、違う反応。

ぞくぞくと背中に何かが走る。


「セックス、て、どこからどこまでかな?」


ごくりと唾を飲み込みながら聞くと、佑真は視線を反らす。


「分かんない、けど、このままじゃ、」


「・・・コレは、セックスじゃないよな」


「・・・うん、」


佑真と春樹は言い訳をするみたいに短い会話を交わした。

その後、どちらからともなく目を合わす。
佑真の瞳は欲に濡れていて、流されない練習だなんて頭ん中から飛んでったみたいだ。
・・・まぁ、俺もなんだけど。


「仕方ない、よな」


これはただの性欲処理だ。
お互いに言い訳をして、また佑真の唇にキスをした。




 ̄ ̄ ̄ ̄



壁に寄りかかってお互いに唇を合わせたまま、それぞれのモノを触る。

舌を絡める余裕もないまま、ただただ唇をあわせて快感に身を任せるのがやっとで、
佑真から漏れる喘ぎと俺の吐息が部屋の中に響いた。

信也よりも一回り小さくて柔らかい指。
親指でゆるゆると、先走りを亀頭に塗り込まれるとひくひく腰が震えてしまう。


「あ、それ、やば」


小さくため息をついて佑真の肩に額を預けると


「これ?」


「・・・ん、」


佑真は機嫌よく亀頭を擦る。
何が楽しいのか、無邪気にモノを触る佑真。
いい年した男二人がお互いのモノを触りあっているなんて間抜けな気がするけれど、背徳感が気持ち良さを煽って、止められない。


「春樹、気持ちいい?」


真っ赤になりながらこくこくと頷くと、佑真はふふ、と笑った。

調子に乗りやがって。

お返しに、と佑真のモノをしごく指を亀頭に這わせ、同じ事をしてやる。
焦れったいのか、佑真の腰がゆるゆると動いた。


「は、これ、っあ」


ついでに首筋を舌先で舐めると、背中に回した佑真の指に力がこもる。


「ん、う・・・っ」


声、カワイイ。
信也が俺に声出せっていうのも分かる、かも。


「だめ、そろそろいきそう、かも」


佑真はぎゅっと目を瞑って俺のTシャツを握りしめた。

早いな、


「もーちょい我慢して、俺も一緒にイきたい」


言うと、律儀に佑真は目を瞑ったまま、一生懸命に俺のモノをしごく指を早める。


「ゆーま、ちゅーは?」


「あ、ん、」


唇を合わせ、舌を絡めとって、指はお互いの下半身へ。


あ、俺も、そろそろ。


「いーよ、一緒に、イこ」


キスの合間に余裕無く、呟くようにそう言うと、佑真はこくこくと何度も首を振る。


「あ、だめ、あっ、イくっ、」


「・・・っん、俺もっ、」


びゅくびゅくと佑真が吐き出す精液を手のひらで受け止めてから数秒後、俺も佑真の手の中に白濁を吐き出した。





 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄




静かな部屋のなか。
はぁはぁと、二人の荒い息だけが響く。


「ティッシュ、ある?」


「あ、うん、」


ごそごそと、べっとりくっついた佑真の精液をティッシュで拭き取りながら、俺は冷静になった頭の中で少しの後悔をしていた。


・・・やっちゃった。


触り合いっこだけだけど、キスもしたし多分これ浮気だ。

・・・信也になんて言おう。
いや、黙っとこ。

これは、俺と佑真だけの秘密だ。

それにしても、佑真可愛かったな。
・・・気持ち良かったし。


だけど、だけど。

出したばっかりだって言うのに
なんだか物足りないのは何故だろう。


佑真を横目でちらりと見ると、やはり佑真も頬を赤く染めたまま、もぞもぞと太ももを擦り合わせている。

・・・きっと、佑真も。


「・・・一個だけ、分かった事がある」


「ん!?」


おもむろに言った俺に、何か考え事をしていたらしい佑真はびくりと反応した。


「俺の体、もー変わっちゃってたみたい」


素直に快感だけを煽ってくる佑真の指も気持ち良かったし、可愛かったし十分刺激的だったけれど、なんだかもどかしい。
焦れるような、痛いくらいのあの刺激がなきゃ精神的に満足出来ない。

多分、この熱は信也じゃないと冷ませない。


「俺も、同じ事考えてた」


佑真は眉を下げ、困ったみたいに笑う。

いつの間にか俺の体も佑真の体も、たちの悪い恋人無しでは満足出来なくなっている。

ホント厄介だ。

Sに目覚めつつある信也と、
最初っから変態な千里さん。

どっちがマシなんだろうか。

とにかく、バレたら大変なコトになるのは容易に想像がついた。
絶対、バレないようにしないと。



それから食べかけだったシュークリームを全部食べて、コーヒーを飲んだ。


「あ、今日の事はお互い内緒な」


帰る間際、玄関先で俺が悪戯っぽく言うと、佑真も笑う。


「もちろん。」


だけどまぁ、こんなのも、たまにはイイかも

なんて

思いながら帰ろうと振り向いた瞬間だった。







「何を内緒にするって?」





そんな・・なんで・・・

壁に寄りかかった、美しい笑みを浮かべた悪魔が、ソコにいた。

ひやりと背中に汗が垂れる。



「ち、さとさん・・・」



立ちすくんだ。



「楽しいコトするなら俺も呼んでくれればいいのに」



そう言った千里さんの笑みは、黒い。

なんで、
これ、バレてる。



心臓が跳ねた。

この底意地の悪い恋人にバレたら、佑真はどうなってしまうんだろう。

ちらりと横目で佑真を見ると、千里さんの声が聞こえたのか、顔を真っ青にして固まっている。



「あ、佑真は悪くな・・・」



咄嗟に庇った瞬間だった。



「だってよ」


千里さんが嫌な笑みを浮かべて、後ろを振り向く。

ぞわ、と嫌な予感がした。



「ふーん。春樹が誘ったんだ」




聞き覚えのある冷めた声。

は、嘘だろ?


千里さんの後ろから出てきたのは、信也だった。



「な、んで・・・」



予想外すぎて、固まった俺はそれだけしか言えない。



「お隣から楽しそうな声が聞こえてきたからさぁ。とりあえず呼んでみました」



小首を傾げ、屈託無く笑う千里さん。


呼んでみました、じゃねーよ!!!
余計なことを・・・・っ!!!



「ちがっ!!俺が、俺が誘って!!」



たまらず飛び出してきた佑真が信也に叫ぶが、
そんなの煽るだけでしかないのは俺にだって分かる。



「いやー、俺、お仕置きとかしてみたかったんだよねー」



真っ青に固まる俺ら二人に、

千里さんは、へらりと笑った。










続く。かも

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