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今日は厄日だ 海鼠クン!!
今日はエイプリルフール。
いつもおちょくられる海鼠クン。
その鬱憤を晴らすため、色んな人を騙そうと考えています。

そんな彼が一番始めに向かった先は…


†first target…†

ガラガラガラ〜

「せんせー、いますか〜??」

「おや、どうかしましたか、海鼠クン」

「へへッ 先生の紅茶が飲みたくて…」

なつき先生は少しびっくりした顔で僕を見た。
でもすぐいつもの顔に戻って、こう答えた。

「そうですか、丁度今からお茶を淹れようと思っていたんですよ」

僕は先生の椅子の前に座り紅茶を貰った。
もちろん、紅茶が飲みたいなんて嘘だ。
少しの沈黙の後、先に口を開いたのはなつき先生だった。

カチャン

「で、海鼠クン。本当の目的は何ですか?」

なつき先生はカップを置くと、僕に尋ねた。
思ってもいなかったことだったので、冷や汗が走る。

「えっ!?先生何言って…」

「紅茶が飲みたいなんて嘘でしょう??私の所に好んでお茶を飲みに来る人は普通いませんから…ね」

確かに先生の言うことは正しい。
先生が淹れる紅茶は美味しいけど、必ずといっていいほど薬が混ぜられている。
そんな紅茶を誰が好んで飲みに行こうか。
自分の顔がどんどん青くなっていくのがわかる。

「僕はただ…」

「ただ…何ですか??」

「えっと…それは…」

先生は全てわかっているような目で僕を見ている。

ヤバい、バレてる…。
なんで??顔に出ないようにしてるのに…

長い沈黙が余計に僕を締め付ける。


「……やっぱり、何でもないです。」

負けた…。
この先生にはかなわない…。

先生の方をチラッと見ると、勝ったと言わんばかりの顔をしていた。

「そうですか…何もないですか(黒笑)」

「…はい、すみません」


僕は何もできないまま、保健室を去った…。


なつき先生*失敗



†second target…†

保健室を出た後、僕は熊井先生の元に向かった。

さっきはバレてしまって騙せなかったけど、熊井先生ならきっと大丈夫だ。
僕は両手でパシンッと頬を叩いて気持ちを切り替えた。
熊井先生相手なら、アレが使える…!!


バンッ

「く、熊井先生!!大変です!!」

息を切らせた演技をしながら、僕は熊井先生のいる教室の扉を開けた。


「どうした海鼠!?そんなに息切らして…」

「先生大変なんです!!」
何かあって焦ってるフリをして会話を続ける。

「大変なのはわかった、何があったんだ!?」

「あつきくんが、体育館裏で不良に絡まれてて…。先生助けて下さい!!」

「何ッ!?あつきがッ!?こうしちゃいれん!!すぐに俺が助けにいくぞー!!!!」

熊井先生は大声でそう叫ぶと、勢いよく走っていった。
こんな話は真っ赤な嘘だということも知らずに…。

熊井先生はあつきくんのことになると、目の色を変えるのを知ってるからこそ、使える手だ。

僕は初めて成功したことに喜び、顔のニヤケが止まらなかった。


熊井先生*成功



†last target…†

最後はもちろんあの人だ…。
僕のことをいつもいつも玩具にしてる、きゃる会長…。
さぁどうやって騙そうか…。


コンコン

「失礼します。会長、少し話があるんですが…いいですか??」

生徒会室に入ってみると、珍しく会長が書類に目を通していた。

「あら、海鼠。いいわよ、話しなさい。」

僕は会長の近くまで行き、書類を奪った。

「ちょっと、何するのよ!!あんたの話なんて、書類読みながらでも聞けるわッ!!」

怒って書類を取り返そうとしている会長を気にせずに、僕は口を開く。

「会長…真剣な話なんです。ちゃんと聞いて欲しいんです!!」

「………わかったわよ。聞けばいいんでしょ。聞けば」

会長は真面目な顔をしている僕を見て、書類を取り返そうとするのをやめた。

「実は僕…、ずっとずっと会長のことが好きだったんです!!」

会長が目を見開いている。
僕は、言葉を続ける。

「確かに会長に脅されて、生徒会に入ったのは事実です。でも、一緒に仕事してたら、意外と優しいところがあって…無意識のうちに会長のことを見てしまうん
です。だから…だから僕は!!」

我ながら凄い演技力だと思う。
今僕は会長に絶対に言わないであろう言葉を言っている。

「ちょっと待ちなさい!!いきなりそんなこと言われても…あたしは…」

会長は顔を赤くして、僕に見られないように隠していた。

そう!!僕はこの顔が見たかったんだ!!
いつも余裕ぶってること人が恥じらう姿を!!

「あたしは…あんたのことそういう風に見たことは…多分ないと思うの、だからその…」

僕の嘘に対して、必死に答えている会長を見て吹き出しそうになった。
嗚呼、この人はなんて馬鹿なんだろう。
こんな嘘に騙されて…。


「ククッ」

「えっ?」

「あははははは!!」

僕は耐えきれなくなって、思わず大爆笑してしまった。

「会長、あんた馬鹿だよ。こんなの全部嘘。何本気にしちゃってるの??今日はエイプリルフールだよ?」

そう言って笑い続ける僕を見て、会長の顔は見る見るうちに茹で蛸のように真っ赤になった。
そして、俯いたと思ったら勢いよく顔を上げて、僕を睨んだ。

「あははは…は…は…」

「あたしを騙すなんて…覚悟はできてるんでしょうね??」

会長は僕の胸ぐらを掴んでそう言い放った。

目が本気だ…。ヤバい…殺される…。

「あたしを馬鹿にした罰、受けなさい!!」

「えっ??ちょっと待っ…
うぎゃぁぁぁああああ!!」


この日、この叫び声の後に海鼠を見た人はいなかった…。

次の日、学園新聞に海鼠の恥ずかしい写真が載せられていた。
この原因を知っているのは、関係者のみである…。


きゃる会長*成功or失敗??




著者:変態保険医




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