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それならぼくはゼロを選ぶ
聞かれた。
世界を救うにはみちるを犠牲にしなければならない。
その選択をする時、自分ならどうするか。

「決まってるさ」
みちるがいない世界なんて守っても仕方がないじゃないか。

言うと、ほたるはくすくすと笑った。
やっぱり二人はお似合いのカップルね、と。
よく意味は分からなかったが、当然だと頷いておく。
「何でいきなり?」
「ううん、ただ本読んでふと思っただけ。はるかならどう言うかなって」
「へぇ。ほたるはどう思ったんだい?」
「え?私?」

ほたるは今まで考えていた訳でも無いらしく、
思案する様子を見せた。
対象は聞かずとも分かっている。
こうしている今も部屋にこもり、
自分には理解できないような数字の羅列を打ち込んでいる彼女の顔が浮かんだ。

「うーん………」

随分唸っていたが、やがてふ、と苦笑いを浮かべる。

「どうしよう。全てを消してしまうかも」


さらりと流れた言葉に、僕の心臓は一瞬凍った。


僕の様子に気付かなかったのか、ほたるは続ける。

「もしそんな事になったら、はるか。
迷わず私を殺してね。私から世界を守って」

まるで、ちょっとした頼み事をするように。
ほたるは両手を合わせて笑う。

僕は軽く笑い返しながら、掌を見つめた。
果たして、今の自分にそれが出来るのかが不安だから、
引き受けたく無かった。


だって今の僕は、
この子のいない世界だって守っては仕方ないと思ってしまうんだ。



………果たして、出来るだろうか?

*****

書いてて「はるかさんはこうは言わないかも…」と後悔。
とにかくバカップルさが出したかった><
微妙に『逢わねばいいのですが』とリンク。
破滅の力を持つほたるちゃんは、日々密かに衝動と戦ってるんだと思うんです。



あきゅろす。
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