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迷い子よおいで手の鳴る方へ
――――呼ばれている。私は、私のあるべきところへ呼ばれている。


せつなの本能はそう訴えかけていた。
動物のように本能にのみ従えられればどれだけよかったことか。
人間には理性がある。
本能が訴えかけると同時に、せつなの中では理性が強く彼女を引き留めていた。

――――行ってはいけない。近づけばこの身は滅びへ向かう。


判っている、判っているのだ。
これもまた番人の身体に巻きついた禁忌の鎖。
千切ってしまえば、罪を償わなければならない。
時空を支配する彼女は幾千の鎖に全身を縛られているのだ。
それでも、打ち勝とうとするたびに本能はさらに強く求めてくる。


――――行かなければ。

――――行かなければ自分はきっと後悔する。

――――我が身を守ったことを、一生悔みながら私は生きていかなければならない。


しかし、それでもせつなには覚悟を決めることが出来なかった。
以前までは躊躇いなく出来たのに、何という醜態だろう。自分はどこまで臆病になったのだ。
自分の情けなさにせつなは1人自嘲した。


その時、部屋の外から爆竹のような音がした。
それは近くではない、少し離れた場所から打ち上げられた花火のようだった。
部屋の隅で膝を抱えていたせつなは、ふ、と顔を上げた。




――――ああ、音が聞こえる。

――――プルート、あなたはこのままでいいの。

――――このまま部屋に籠っているだけでいいの?


本能が優しく語りかけてくる。
理性はただ黙っている。

せつなはゆっくりと立ち上がった。
ふらついてはいたが、確かにしっかりと足を踏み出した。
薄暗かった部屋に差し込む、廊下からの光。


「私……やっぱり、行きたい」


自分に言い聞かせるように小さく呟いた。
最初からやりたいことはこれだけだった。
例えこの身滅びようと、叶えられればそれでいい。
せつなの赤い瞳に光が宿る。

「絶対に、諦めないわ」









「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
「みんなああああせつなが発狂したあああああ早く来てくれえええ!!!」
「離しなさいはるかあああああ!!!私を、私を十番幼稚園へ行かせてえええええええええ!!!!!!
 幼女達の運動会を見させてええええええええ!!!!!!」
「せつな!?あなた本当に死ぬわよ!!?」
「この身滅びようと、私は絶対に諦めません!!!!!!!!!」
「その熱意もっと別のところに向けろよ!!!!」


「…………死世界変革」
「アッー」





*****

駄目だこの人…早く何とかしないと…

作ってるときのBGMが海外版ムーンライト伝説だったからね、多少のカオスは仕方ないね




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