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私の存在はフィクションです



「お聞きしたいのだけど。せつなって小さい頃あったの?」
「ありましたよ失礼なw何です、藪から棒に」
「あなたの幼少時代って何だか想像付かないんだもの。ねえ、写真とかないの?」
「写真は流石にありませんね」
「じゃあ何か思い出とかないの?」
「思い出なんて」



みちるに言われて、顧みることが無くなって久しい子供の頃の自分を思い浮かべる。
遠い遠い昔の事で、何万年分の埃を被った記憶の箱。

漠然としか思い出せないが事象は覚えている。
物心付いた頃からたった一人で冥界の迷宮に放り出され、何度も死者に殺されかけながら脱出したこと、
時の守護者へとなるために修行を積んだこと、
そして冥王星がシルバーミレニアムの管轄となり、時空の扉の門番としてセーラー戦士になったこと、
ただひたすら侵略者と戦っていたこと、
長い時を経て今の姿になったこと。
なんの事はない、何のおもしろみのない過ごし方だ。

「………ん?」

語ることはない、そう告げようとしたときにふと、ある会話がフラッシュバックした。




ここはカロンキャッスルの中、応接の間?
そして見える2つの影。
片側は昔の私。まだ父が冥界を治めていた頃の、姫だった頃の私。
その私の目の前には、誰かがいる。私の目線の高さに合わせるように膝をついてくれている。
口元が微笑んでいるのはわかるのに、顔が朧気ではっきりしない。
私は、舌足らずなしゃべり方で興奮したように目の前の彼女に話しかけていた。

『ねえ!────さま!わたしがおおきくなったら、ずっといっしょにいてくれる?』
『ええ、ずっと一緒に居ましょう』
『わたし、────さまのこと、だいすき!!』

すると、彼女はそっと私の頭に白い手を置いて、

『私も貴方が大好きよ、プルート』




「……………つな、せつなってば」
「……え?…ああ、何でしょう?」
「何でしょうじゃないわ、いきなり黙ってしまうからびっくりしたじゃない」
「ああ、すみません。ちょっと考え事を」
不満気にこちらを見るみちるに謝りながら、先程の記憶を思い返す。
今までに起きた事象はすべて覚えてきた筈だった。
しかし、あのように曖昧な映像として残っているなんてなかった。
私の頭を撫でてくれた『彼女』は一体誰?
そもそも実際にあの会話は行われていたものなのだろうか?

本当に行われていたのなら、あれは、


(ものっそい恥ずかしいですねあれ!!!!!!)


どう考えても人生の黒歴史レベルです。本当にありがとうございました。
あんなこと私が言うはずない!これは何らかの捏造された記憶よ!
だってそうでしょう、今の今まで思い出したことも無かったのだから。



その時、玄関の扉が開いた音がした。


「ただいまー、……何?二人ともそんな向かい合って」
「あらほたる、お帰りなさい。今ね、せつなに小さい頃があったのか聞いてたの」
「えー、せつなに小さい頃あったの?」
「ほたるまで言いますか。失礼な」
「冗談だってば」
全く揃いも揃って。
とりあえずこの話は終わらせよう。
「紅茶飲みますか?」
「あ、飲む」
「せつな、私も」
「はいはい」

紅茶を新しい茶葉に変えよう。私は席を立った。









「本当、大きくなったね。プルート」








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ロリプー様が書きたかっただけなの!
『彼女』って誰だったのかなあ!(棒読み)



あきゅろす。
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