3.先輩と後輩

「ちょ、葉月?どこ行くの?」

「サボる。というか、気分悪い」

「…了解」


ガラッとやたら大きな音をたてて教室を出る
クラスメイトの女子数名が私を見ながら何か言っている

どうせ、陰口だろう


「(言いたいことがあるなら、はっきり言えばいい)」


これだから、女は嫌いだ
グチグチ陰で言う事しか出来ないくせに、プライドだけは高くて、自分が言われると逆切れ、大泣き

本当ッムカつく


「…泉先輩」

「ん?」


勿論、保健室に行く気なんてないし、かと言って授業中に廊下をうろうろしてもいられない
そんなときこそ屋上だ。滅多に先生が来る事もないし


「お前もサボり?」

「…先輩こそ、もうすぐ受験なのにいんですか?」

「いーんだよ。みんな受験モードでピリピリしてんの」


成程…


「お前は?何でサボり?」

「気分です」

「おー不良」

「そんな不良と仲良く喋ってるんですから泉先輩も不良ですよ」

「俺はいいの、お前と居るの好きだから」


この人は何でこんな簡単に「好き」とか言えるんだろう


「先輩、」

「ん?」

「好きです」

「知ってる」

「すみません」

「俺も好きだよ、葉月のこと」


俯いていた顔を上げると目の前に泉先輩の顔があった
随分近いような気がする


「い、っずみ、先輩…?」

「孝介って呼べよ」

「こう、すけ…先輩」

「最後の、いらない」

「孝介…っ」

「よし」


満足そうな顔で泉先輩は笑った
あまりにも綺麗な笑い方をするので、思わず見とれてしまった


「一年待つから、絶対西浦来いよ」

「はいっ」



先輩と
(一年後、君は笑って俺に抱きついた)





  

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