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大胆な君


立花様より




「えへへ・・・、キスしてぇ?」

「トキ、落ち着いてくれっ!」


ベッタリとガナッシュに抱きつきながら、鼻にかかった甘えた声を出す。

緩んだ笑顔は、何処かおかしい。
原因であるカシスを睨み付ける。


「・・・・何で酒があったんだ?」

「わ、悪い!
俺が飲むつもりだったんだよ!」


事の始まりは、近々ある文化祭での打ち合わせをしていた。

メンバーはくじで決まったガナッシュ・トキ・カシス・シードルだ。

丁度、大体のことは決めた後、カシスが休憩しようと言い出した。

それに反対する訳はなく。
カシスの持ってきたジュースを飲んでいた時にだ。

隣にいたトキの様子が、一変した。
いきなり、甘えだしたのだ。
どうしたのだろうと、不思議に思ったが、トキから酒の匂いがした。

缶を見てみると、見事にビンゴ。
それは酒だったのだ。

カシスは小さな声で、悔しそうに呟く。


「・・・シードルを酔わせちまう目的だったのに。」

「ねぇ、カシス。
ブラックローズを、そんなに喰らいたいかい?」


極上の笑みを浮かべながら、シードルは怒っているのが分かる。


「勘弁してくださいっ!」


カシスはすぐに謝った。

その間に、トキの行動はエスカレートしていく。





ガナッシュの首に腕を回し、可愛く首を傾げる。


「・・・・キスしよ?」


相手は酔っている。
それなのに、本気で誘われているようで、おかしくなりそうだ。


「トキ、水を飲もう。眼が覚める。」

「やぁっ。飲ませて・・・・?」


一生、恨むぞカシス。殺気を込めながら、カシスを睨む。


「駄目だ。
普通に飲んでくれ。」


トキの眼に、涙が浮かびカシスの方に行く。

哀しそうに顔を歪ませるトキ。


「じゃあ、カシスとするもんっ・・・。」


カシスに抱きつこうとするトキを、引き離す。


「「駄目だ!!」」


ガナッシュと同じ制止の声をかけたのはシードル。

カシスに抱きつき、トキを抱きつかせないようにしていた。


「「・・・・。」」


沈黙が続く。
シードルは、顔を真っ赤にさせる。

「勘違いしないでよね!バカシス!」


教室から走り去るシードルを、嬉しそうに追うカシス。

ガナッシュは、トキを抱きしめたまま、その姿を見送った。


「ったく・・・。」


呆れたガナッシュの唇に柔らかい感触。
トキが拙いながらも、ガナッシュにキスを仕掛けていた。


「んっ・・・あふッ・・・!ぁ・・・。」


自分が、キスをしているくせに、まるで翻弄されているようだ。

色っぽい声が、トキから漏れる。


「はぁ・・・・!」


ようやく離れた唇は、艶やかに紅く色付いていた。


「さっき・・・。
ヤキモチ妬いてくれた?」


酒の勢いなのか。
それとも、素なのか、わからない。

だけど、大胆な行動にガナッシュは顔を真っ赤にしていた。


「妬きまくりだ・・・。」


完敗だなと苦笑する。トキはすっかり、眠りへと落ちていた。
起きたら仕返しをしようと、ガナッシュは企みながら幸せそうに微笑んだ。


Fin


2007/5/26


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あきゅろす。
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