start 2 「そういえばさー、こうさんに相談があるんだ」 き、た。 まるで今日の天気の話しをする様に話し出す旭に、俺は気付かれないようにため息を落とした。 最近、旭は相談と言って俺に色々聞いてくる。 例えば「こうさん、サプライズって好き?」とか、「好きな人と一緒に暮らすとかって……どう思う?」そんな類の質問だ。 それは、旭が沙世さんにしてあげたい事の質問なんだろうけど……俺には凄く辛い。 その質問がくる度に俺の心は軋むように痛むのだ。 けれどその痛みを出さないように応えている俺の心は正直限界で、今にも泣いて旭に訴えたくなる。 そんな事を俺に聞くな、と。 好きだから、何とかしてあげたい。 だけど、本当に辛いのだ。 知られたくない、けれど脳天気にそんな事を相談する旭に、この想いを知って欲しい。 相反する気持ちが顔に出てたのだろうか。 旭は恐る恐る言葉を付け加える。 「あ、相談っていうか……困ってる事なんだけど……ダメ?」 そんな顔は、卑怯だ。 形良い眉は下げられ、まるで捨てられる寸前の子犬の様。 「いいに決まってんだろ。話せよ」 旭が気軽に話せるように、笑った。 瞬間、嬉しそうな笑みが旭の顔に広がる。それは俺が答えを言うと見られる笑顔と同じで……俺は納得した。 そっか、俺はこの顔が見たくて相談を受けてたんだ、って。 [*前][次#] [戻る] |