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思ったよりも焼く時間が掛かったハンバーグは、想像以上に美味かった。


単に腹が減っていたのか、それとも久し振りのハンバーグだからなのか、はたまた横に旭が居るからなのか……。

どんな理由にせよ、妙に腹も心も満たされた晩飯だった。
そしてそれは旭も一緒だったのか、後片付けもせずに二人並んで定位置のベッドを背に座っていると嘆息と共に声が洩れてきた。


「あー、すげー幸せ」


その呟きに俺は小さく「俺も、」と呟いたが旭に聞こえたかどうかは分からない。


心地よい沈黙が部屋を包む。
俺はその心地よさに徐々にまどろんでいった。


「――ッ……何、してんの?」


首筋にピリッとした小さな痛みに、俺は首筋にあった旭の手を押しのけた。


「跡、薄くなっちゃったねー」


笑っている旭の手には絆創膏。俺は一気にまどろみから覚醒した。
首筋から剥がした絆創膏の下にあったのは旭が付けた跡だ。
俺はとっさに消えたら寂しい、と思ってしまった羞恥を耐え、さも何でもないように言った。


「そ……うだな。明日には貼らなくても良さそうだ」

「えー、まだ貼んなきゃならないよー」

「何言ってんだよ、明日には……」


消える、と言う言葉は続かなかった。
何故なら気が付いた時には旭の顔は間近にあり、俺の首筋へと顔を埋めていたからだ。
それと同時に吸い付かれるのが分かった。


「……ぁ、……んっ」


ぞくりと肌が粟立つ。
旭のふわふわとした髪の毛が顔に当たのがくすぐったい。そんな風に冷静に考えられるのに、心臓は破裂しそうなほど高鳴っていて苦しい。何がどうなってこの状況なのかは全く飲み込めないのだが、旭が触れている。それは紛れもない事実でそれだけで恍惚とする自分がいた。


「ぁ、ぁ、……旭ッ…………いっ……たいっ」


始めは甘い痛みだったのだが段々と吸われる力が強くなり、思わず抗議の声が洩れた。


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あきゅろす。
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