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「は、ぁ〜〜〜〜」
俺は、寮の部屋へと向かう途中、今日何十回目かのため息をついた。
あの日からいくらため息をついても、旭の事が頭から離れない。
旭の事を考えるだけで、喉の奥が重くなってゆく。それが溜まりに溜まって、最後にため息として出てゆくのだ。
そう、あの日からもう1週間近く経っている。
その間旭からの連絡は、ない。
もちろん、俺の電話にもメールにも何も応えてくれない。
気が付けば、携帯を握りしめている日々を過ごしてるのだ。
そっと、自分の首筋に触れた。
触れた先には皮膚とは違うツルツルとした感触。
そこは旭が跡を残した箇所。そしてそれを隠す為の絆創膏。
付けられた当初は紫色混じりの鮮やかな朱色にズキズキと甘い痛みを伴っていたのだが……今はもう皮膚の表面にうっすらと朱色を残すだけーーー
俺はそれが凄く嫌だった。
連絡が取れなくなった旭。
消えてゆく旭が付けた跡。
まるでそれが比例しているようで、俺は酷く悲しくーーーそして怖いのだ。
もう、旭に会えなかったらどうしよう。
いっそのこと旭を探しに大学まで行ってみようか。
ああ、でも、会ってくれなかったらどうしよう。
もう、笑ってくれなかったらどうしよう。
出て行く前の旭の顔が、涙が、脳内にこびりついて離れない。
何故。どうして。
ーーーどうしよう。
何だか途方に暮れる。
そして無償に、泣きたくなった。
潤む瞳に気付かない振りして、俺は何度も何度もまばたきをした。
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