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「旭、ごめんな」


俺は一番言いたかった言葉を口にだした。
お前を蔑んだりして。
俺と関係持ってるなんて噂されちゃって。

本当に、ごめん。



『ん、いいよー』
「………俺がなんで謝ってるか解るの?」
『わかんないけど………俺、こうさんの事好きだから何でも許しちゃうー』


俺も好き。
この言葉を軽く言えたらいいのに…

旭が言ってくれた『好き』とは意味が違うんだけど……


口元を押さえた。
ムズムズしている。ヤバいにやけそうだ。
そして……


『あ、もしかしてこうさん、今真っ赤でしょー』
「……なっ………!!」


図星だ。

旭の『好き』という言葉だけで染まった頬は未だ健在で、それどころか、新たに朱を増してゆく。


『んもー、こうさんってば可愛いんだから。こうさんも俺の事好きって知ってるからー』
「ばっか、ふざけんなっ!!嫌いだよ……旭なんてっ」


なんで俺が言いたい事わかるんだよっ。
思わず発した言葉は『嫌い』だけど、ああ、全部『好き』に変換して。

くつくつと電話口から聞こえる低い笑い声にドキドキする。

『さっき笑ったお返し。………早く帰って来てね』
「……うん」


甘く囁かれる言葉に思わず頷く。
全くかなわない。
何だか甘い雰囲気に居たたまれなくなり、早々に電話を切った。


電話を切った後、俺は歩みを速めて涼也の家へ向かう。

どんなに違う事を考えても、なかなか頬の朱は取れなかった。



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