[通常モード] [URL送信]

start

仕事終わりのロッカーで、携帯を開けたり閉めたりして俺は悩んでた。


涼也に相談がある、と言えば快諾してくれ、仕事帰りに涼也の家で会うことになった。


問題は旭だ。
単純にメールにしようか電話にしようかで迷ってる。
この時間だと旭は家に居るか居ないかの瀬戸際だ。
「今、家に居るよ」って電話口で言われちゃうと帰ってしまいたくなる。
そして、きっと旭と過ごせる幸せと、今日安井に言われた言葉や、言ってしまった言葉に自己嫌悪しながら過ごすんだ。
一瞬にしてその時の気まずさ、いたたまれさを思い浮かべて渋面を作る。


そんな思いはごめんだ。

やはりメールなのか?
軽く、今日は来なくて良いって言えばいいのか?

だけど、自分の口で「ごめん」って位言いたい。
やはり謝罪はメールより本人へ言葉で謝りたい。
そうとは思うのだが、気持ちとは裏腹にメールを作成していた。

結局の所、俺は旭に直接ウソ付きたくなかっただけなんだ。


……メールだと、あっさり簡単に偽りの言葉が出てくるから……



『今日は会社の飲み会があるから、家帰るの遅くなる』


送信。

謝罪の言葉は、後で言おう。だなんて、自分をごまかしながら―――



携帯をポケットに仕舞おうとしたら、着信を知らせる振動を感じた。



………旭だ。



悩んだ意味がないじゃないか。
俺はそっと溜め息を付き、覚悟を決めて通話ボタンを押した。




[*前][次#]

4/25ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!