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呆然と山形さんの唇を受けていたが、触れるだけだったキスが啄むように動く事で慌てて拒否する。
「ちょっ…、ま、待って―――!!」
「……なに?」
暴れ出した俺に不満げな様子だが、唇を離して問いてくる。
だけど、離れたのは唇だけでその他はまだ密着している。もちろん、顎には手が添えられている状態だ。
そして………今更ながら気付く。
俺、ファーストキスだった。
自覚したと同時に熱くなる頬。
うわぁ、俺きっと凄い顔してる…。
案の定、山形さんは目を丸くして此方を見てる。
こんな反応は見て欲しくないのだが、こんな風にしたのは、山形さん本人だ。
俺は頬を染めたまま、山形さんに訴えた。
「こ、こんな事、しても…」
どもりながらもこんな事、と口に出した途端ますます赤くなった。この行為の先には暗にセックス、と改めて実感したからだ。
興味が無かった訳ではない。ただ、自分がその行為をしているのが、想像出来ないのだ。
あわあわと伝える言葉が出てこず、またじわっと涙腺が緩むのが感じる。
「もしかして、焦らしてる?」
「ち、ちちち違う!!」
必死に否定している俺の頬に舌を這わす。びくりと躰を震わす俺に山形さんはにこりと笑った。
「初めて、なんだ?」
少しからかい交じりの言葉に羞恥とは違う朱が差す。
「そ、そうだよ!!だから、セ、セックスして忘れる、なんて出来ないから…」
離せよ、という怒鳴り声は再び塞がれた唇によってくぐもった音になる。
そのままぬるりと入ってきた舌に口の中を蹂躙される。
上唇の形を確かめるように這ったかと思うと、歯茎を通り上顎を擽られるように舐められる。大量に唾液を含ませた舌は逃げる俺の舌に絡ませた。
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