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やはりというか、当然というか、脱衣場も浴室も広い。

頭から酒を被ってベタベタする服を脱ぐ。
どこに服を置いておくか悩んだが、丸めて脱衣場の隅に置いといた。

酒臭い。
顔が熱い。
フラつく。

一人になって実感する。俺、ちょっと酔ってる…。
温めのシャワーを少しでも酒が抜けるように願いながら頭から被った。






「あ、れ…?」


多少すっきりした体でシャワーからあがると、置いてあった筈の服はなく、替わりにフェイスタオルとバスローブ。


…バスローブの現物なんて初めて見たよ…。


適当に水分を拭き取りバスローブに身を包んだ。上質なタオル生地は肌に残った水分を吸い取ってゆく。


凄く心地よい。
けど、似合わない。

タオルを頭に被せ、バスローブを着込んだ自分の姿を見た俺は、何だか居たたまれない気持ちに陥った。
どの道、着ていた服は着れない状態なのだから助かるのは助かったのだけど……なんて贅沢な事を考えながらリビングへと戻る。










「シャワーありがとうございました」
「……ああ」


酒まみれになっていた場所は綺麗に片付けてあった。
そして、俺の姿をみた山形さんは目を細め、にっこりと笑う。


「洋服は洗濯するから…」
「え、マジで…!!えと、ありがとう、ございます?」


助かる、助かるけど…
あれ?
俺帰れないんじゃ…


「今日は泊まっていけ」


思考を遮るように山形さんは言う。
だけど、そんな訳には行かない。


「え、いや、帰りますけど…」
「…好きだったやつの事、忘れたいんだろ?」


先程の台詞を繰り返す。それと同時に脳裏に蘇るのは旭と沙世さん。
くしゃりと顔を歪めた俺に山形さんはゆっくりと手を伸ばしてきた。
そっと、優しく頬を撫でられる。


「忘れさせてやる」


体を山形さんに抱き寄せられた。
至近距離で見つめ合う。近いけど、山形さんの真摯な瞳に奪われて思考は霞む。
頬の手はだんだんと顎へとかけられる。

瞳が離せられない。

「だから」と言いながら顔が近づいてくる。


拒められない。


「忘れろ」


命令と同時に、俺の唇は塞がれた。


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あきゅろす。
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